ひよこ日記 第24節

 111、人体展の最終日

 うっかり勘違いしてやってしまった全裸ガイドのことは、大後悔していた。いくら部活で積極的に自ら全裸になろうと言われていても、それは部活とか、せいぜい校内での話なので、田舎の小さな展覧会とはいえ、全裸でガイドしてしまったというのは、ちょっと赤面すぎると思う。自発的に全裸に脱いだという話に尾ひれがついて広がってしまったので、いまさら、あれは自発的というより単なる勘違いでしたとは言いにくい雰囲気だった。それに自発的にとんでもない場所で全裸になれる幼稚な子と伝説化されてしまい、今さら取り下げる訳にもいかず、その話をされると恥ずかしいなあと思った。自発的に全裸になれと言われても、運動会のように強要されたら全裸になれても、なかなか自発的に全裸になれるものでもないのだ。例えば、体育の授業で「自発的に全裸で授業を受けても叱られないんですか?」とぼくが質問したら、体育教師は「男子ならぶっ飛ばすけど、女子なら許す」と言われたのだけど、もう幼児でないので当然なのだが、自主練のつもりで今度の体育の授業は体操着なしでしようと思っても、いざチャイムが鳴ると脱ぐ勇気がなくて、全裸体育はしたことがない。みんな、そういう風に経験的に自主的に女の子が全裸になるのは難しいと知ってるので、女の子は全裸ガイドに「幼稚っぽくないと無理」と大笑いしてたし、男子は「男でもチンチン出して案内なんて無理なのに、女のくせに全裸で案内した子」と大笑いしていた。そんなわけで全裸ガイドはトラウマになりそうだった。

 人体展の最終日も普通にスクールライフを楽しんでいたら、給食後に職員室に呼ばれた。

 「おっ、麻衣、来たか」となぜかランボが機嫌がいい。

 「はい」と、不思議に思いつつ返事をした。

 「実はな、おまえの全裸ガイドが可愛いと大評判になっているようなんだ。別の学校の先生が全裸ガイドの評判を聞いて社会見学のついでに寄ったら、普通のガイドでがっかりしたらしいんだ。そこで別の学年のこどもを引率してくるらしいのだが、全裸ガイドにしてくれと主催者にお願いの電話があったみたいなんだ。これは名誉なことだ。だから、ぜひもう一度全裸ガイドをしないか?」

 「可愛いと評判なのは嬉しいけど、学校ではみんなに幼稚いと笑われたし、小6の団体で来た男子に全裸で気持ち悪いと文句言われたし…」

 「なんだ、そんなことか。どんな絶世の美女でも、気持ち悪いという人もいるぞ。人の好みは様々だからだ。どんなに良いもの、どんなにすばらしいものでも、全体としてほめていても、絶対にけなす人はいる。そういうものだ。そんなことを言うなら、合同発表会なんて、真冬に女子が全裸で寒空の下でマスゲームするから、気持ち悪いどころか、凄いヤジもあるぞ。目の前でスッポンポンになってるから、バカにしたくなる気持ちは分かるけれど、「死んじゃえ肛門虫」とか「変態少女軍団」とか「教育に悪い絶対こどもには見せられない見世物」とか、言いたい放題だぞ。悪口言ったのは何人だ?」

 「1人です」

 「なんだ。たった1人か。じゃあ、他の子たちはみんな満足だったということだよ。それに、興奮したり大満足してる子もいたのでないのか?」

 「はい、いました」と、興奮して麻衣に触っていた男子を思い出して返事をした。

 「主催者は来てほしそうにしていたぞ、どうする?」と言われたが、麻衣はガイド後に悪口を言ったり白眼視した男子もいた(怖い顔で睨んでいた)ので、行きたくない気持ちは変わらなかった。でも、優しい主催者だったので断るのは悪いかな、という気が少しだけした。

 「やっぱり、行きます。こういう経験できるのは今回が最後と思うので、やってみます」

 「そうか、それは良い判断だ」とランボは説得の甲斐があったとさらに機嫌が良くなった。

 麻衣は赤面な経験をいくら貴重な珍しい体験だからと、さらに経験したいとは実際にはあまり強くは思わなかったけれど、そういう気持ちも若干はあったので嘘ではないと思う。でも、それはOKをした表向きの理由であり、本当の理由は《もし、今日行けば、水野玲子が本物の剥製なのか、それとも演技上手な白木みたいに変態なマゾっ子というだけなのか分かる!》という気持ちだった。いくら強制的に大人にされられてるとはいえ、こどもの我慢できる範囲でしか強要できないと思う。もし、例えば葵が肛門に安全ピンを刺されると言われたら、間違いなくバレーボール部に逃げ出すと思うし、絶対に我慢しないと思うのだ。やはり白木のように完全に洗脳されていて、しかも酷い粗末な扱いを受けるのが大好きなマゾでないと、あんな悲惨な姿になれないと思う。単にダンボール詰めにされるのとは意味が違い、自分の体を傷つけないと出来ない姿だからだ。とりあえず、展示場へ行き、水野玲子の正体を確かめないと、いつまでも疑問が残り続けることになり、それも愉快でないと思った。行くのは気が重い気持ちよりも、水野玲子が生き物か剥製かという好奇心の方が勝っていたと思う。

 ところがランボの車に乗り込もうとして驚いた。いつもの白いカローラでなく、タンドラーというアメリカ人とかの好きそうな大型のピックアップトラックだったからだ。

 「先生、いつものカローラと違う」

 「通勤用のカローラは今修理中なんだ。だから仕方なく休日に使う車で来たんだよ」と言っていた。なんだ、こんな車持っていたんだ、やはり傭兵という噂も本当だったのかな、と思った。女の子をどんどん素っ裸にする裸教育推進派の小学校教師だったというジャイアンの日産車よりサイズがあった。荷台では危険だからと、普通に車に乗せられて移動した。傭兵をした後は、アメリカの警備会社にスカウトされて入り、そこで広報係をしていたようだが、たまたま石油コンビナートの警備中にならず者に襲われて、その時にあまりに射撃の腕がいいので、広報係のふりをして送り込まれた用心棒だったと勘違いされたらしい。だが、もし本当に傭兵だったなら、射撃の腕は死活問題なので上手で当然と思う。少人数で警備していた若い警備員たちは、まるでCIAの猛者が1人応援に来てくれた気分だったらしく、胡散臭い広報係で冷遇だったのが、一夜にして待遇激変だったらしいのだ。だが、これも噂にすぎず、水野玲子以上に、真偽不明な話だ。だが白いカローラ乗りよりは、ピックアップの方がタリバンみたいで傭兵らしくは見えそうだ。それに大きな体で窮屈そうにカローラに乗るよりは、なんとなく楽そうにも見える。でも、相変わらず、やくざ風の運転をするジャイアンとは違い、地味で大人しい運転で、交通法規もきちんと守るし、安全マージンを大切にしているかんじだ。

 貸しホールに到着すると、主催者が「きみのガイドが大評判になっていてね。ぜひ、きみにガイドをしてほしいそうだ」と笑顔で出迎えてくれた。

 「そうですか。頑張ります」

 「まだ、団体さんが来るまで30分ほどあるから、10分前までは自由にしていてくれたまえ」と言われた。

 「はい」と返事し、急いで水野玲子の展示台の方へ見に行った。

 ところが、剥製はなく、展示台の中には「切断された女の子の右腕」が飾られていた。まるで地獄の黙示録のような展示物だが、肝心の剥製でないので興味は起きなかった。出入口付近に隊長がいたのを思い出し、出入口付近に戻った。隊長は坂の上から建物や坂の下の方向を見ていた。

 「隊長」

 「おっ、素っ裸でガイドしていた元気な子か、どうした?」

 「この前置いてあった剥製がないんですが、ご存知ですか?」

 「ああ、あれは前回チビちゃんの来た翌日の昼まで飾られていたんだが、来客が少ないし貴重品だからと言って、昼過ぎに撤収してしまったんだ」

 「なあんだ。それで、箱から出された水野はどんな様子でしたか? 生きてたんですよね」

 「あれは剥製だよ」

 「ええっ、どうして分かったんですか?」

 「大人2人でネジを外していたので、ケースのガラス自体は2、3分で外れたんだ。そこで、起き上がって出てくれば普通の中学生なんだが…」

 「どうだったんですか?」

 「それが、隣にこどもより一回り大きなスポンジ入りのダンボールが置かれてて、大人2人で剥製を胎児姿のまま持ち上げると、そのままダンボールに入れていた。そんなに慎重でもないが手荒でもなく、普通に移動させてるかんじかな。それから、体操着を台の下から取り出すと、無造作に剥製の上に放っていたな。剥製の上からもスポンジを被せてから、ガムテープで密封していたぞ」

 「へえ、そうだったんですね」

 「それに、密封後は荷物扱いで、運送会社の軽トラックみたいなものに積まれていたぞ。あれは剥製だな。それ以外のことは何も分からないが」

 「なるほど、ありがとうございました」

 《なんだ、やはり単なる剥製だったんだな》とようやく分かった。外国で親が国家転覆罪で逮捕された時に同時に連れていかれて、親と共に剥製化されたというのが正しそうだった。そんな風に言っていた部員がいたし。胎児でも、生きたまま剥製化(プラスチック化)してしまうほどなので、こどもを剥製化しても不思議はないと思う。せっかく剥製工場まで連れてこられたのだから、そのまま剥製化したということなんだろう。

 でも、まだエントランスホールにいたランボに、「何の話してた?」と言われて、その話をしたら、ランボは違う考えのようだった。

 「剥製なら、どうしてわざわざ体操服で来たんだ? そんな台の下に隠しておくなんて面倒くさい。死んでるなら、どうせ本人には分からないのだから素っ裸のまま運んで来て搬入すればいいだけだろ。剥製なら単なる物なんだから、遠慮はいらないだろ」

 「体操着で来たのは見てないそうですよ」

 「じゃあ、なおさら、何のために、わざわざ体操着を持ってきたんだ? そういう名の女の子は合宿でいたから、本人の体操着だろうけれど」

 「あ、そうか。でも荷物として運ばれていったんですよ」

 「仮に隊長の言うことが本当として、だから剥製ということにならんだろ。ダンボール詰め程度なら、女子部員なら誰でも経験することだ。お前も入れられただろ。まして一回り大きな箱で、スポンジで包まれて入ってるなら、数時間入れられていても、さほど辛くないだろ」

 「あっ、それもそうか」

 「主催者は偽物ばかり並べて詐欺師みたいに思われてるから、偽物であっても本物らしく見せたいという手の込んだ芝居なのかもしれないな。敵を欺くにはまず味方からと言うくらいだからな。本物の少女の剥製を飾ってあったと思われたいのだろうな」

 「なるほど」と、まるでジュラシックパークの興行師みたいな話だなと思った。確かに模型ばかり、偽物ばかりな博覧会だが、あれだけのものを偽物であれ収集した情熱は本物な気がした。だから、本物を飾りたいという欲求が強い人としても不思議はないと思った。

 「それに、運送会社のトラックの荷台に他の荷物と共に積まれても、先生の車のトランクに積まれても、苦しさは似たようなものだ。それに、最初から素早く配送してもらう約束にしてあれば、そんなに長時間ダンボール詰めということにもならないだろ」

 その話を聞いて、確かに苦しさとしては、ダンボール詰めで移動させられるなら、配送だろうが、持ち帰りだろうが、苦しさは同じと思った。ただ、もし麻衣がダンボール詰めにされて配送されることになったなら、物扱いというか、粗末な扱いというか、人間扱いされてないみたいで、凄く嫌だなと思った。そんな扱いされて喜びそうなのは白木とか、面白ければそれでいい華子くらいだろうか。でも華子も苦しいことは余り好きでないので、面白くても嫌がりそうな気がした。でも、小さな展示台の中に飾られ、さらにダンボール詰めにされて移動して、しかも異常に長時間狭い場所に入れられたままで、手品でもないなら、そんな長時間に耐えられるものだろうか。

 「じゃあ。夕方迎えにくるからな。楽しんでガイドすればいいし、色々な奴がいるから、悪口を言われても気にするな」と言い残して、ランボはタンドラの停車してある駐車場へと見えなくなった。案外静かで、タンドラの去る音は聞こえなかった。


112、ガイドと展示物をした

 

 麻衣としては剥製と結論が出たのだが、ランボはもともと合宿で知ってる女子だからか、普通の子供という自説を曲げず去ってしまった。目の前で生き生きと動き回ってマスゲームしていたこどもが剥製にされて飾られているとは思いにくいのは分かる気がしたが、隊長の話では剥製だし、隊長は自分で施錠しているだけに女の子が2日間も狭い空間に耐えられるとは思えないようで剥製と信じて疑わない様子だったし、麻衣も同じ気持ちだった。 

 10分前となり、エントランスホールに奥の部屋から主催者が出て来て、とりあえず着替えればいいのだが、控室は警備員室として使っているので、エントランスホールで脱いでパイプ椅子の上にセーラー服を置いておいてほしいと言っていた。「どうせ全裸になるのだから、見える場所で脱いでも同じだよね」と言われて、「はい」と返事はしたが、やはり全裸になるのは同じであっても、脱ぐときは他人から見えない場所の方が安心だと思う。てっきり、この前の台の所で脱ぎ、台の中に入れておくのかと思ったら、台の上には少女の人形が1体、飾られていた。どこかで裸教育されている他校の女子生徒なのだろうが、そういう知識がないなら、普通に人形が飾られているという風にしか見えないと思う。白木も人形の演技が上手で驚いたが、この子は白木より上手だった。ただ、可愛らしさはそこそこで、麻衣や華子のように、道路で振り返られるほどでもないなと思った。エントランスホールから見ただけだが、そんな風に思った。あの女の子の服や下着があの子の四つん這いになっている台の下におそらく収納されてるから、だから麻衣はパイプ椅子の上に置くしかないのだなと分かった。

 パイプ椅子の上に服を置くと言っても、隊長は別の隊員と交代して控室の中にいるし、交代した隊員は駐車場方向へ行ってしまったし、人は少ないし、どこで着替えても同じようなものと思った。「警備員がバスが来たら教えてくれるから、それまで、のんびりしてて」と言うと、主催者は再び奥の小部屋へと消えてしまった。今日は幼稚にパイプにまたがらないぞと決めていたので、足をプラプラされながら、椅子に大人しく座っていた。お尻の下にセーラー服や下着があり、その上に座っているかんじだった。先生のリクエストでぼくが案内する訳なので、喜ばれるのは事実だが、あまり生徒の拒絶反応がないといいなと思った。理屈ではランボの言うことは分かるけれど、実際に目の前で悪態をつかれると、落ち込むので嫌だなと思った。でも、嫌な全裸ガイドと引き換えに、水野玲子は実在のマスゲーム少女だったが剥製化していると一応の結論が出て良かったと思う。ただランボの否定的な言葉が小骨のように脳裏に引っかかっていたので、《もっとスッキリと剥製と確認できたら、なお良かったのにな》と思った。自分で剥製をダンボール詰め作業を手伝ったり、せめて実物に触れれば、生死は明確に判断できたのにと思う。死体なら明らかに物にしか見えないので、どんなに人間らしい外観を保っていても、やはりマネキン人形みたいに見えるので、展示台から出された状態でなら、仮に手で触れなくても一目瞭然なのにな、と、それは残念だった。いくら全裸に慣れても、人間の基本的な恥ずかしさそのものは消えないようで、そろそろ到着する時間かなと思うと、それなりに緊張でどきどきした。いくらこどもでも、普通に服を着ている大人や子供の集団の中で、自分一人だけが全裸というのは、かなりエッチな状況なのは事実なので、どきどきするのは普通のことなのかもしれないが。

 「バスが到着したようだよ」と控室から隊長がエントランスホールを覗くように顔を出して教えてくれた。

 「はい、ありがとうございます」と返事し、覚悟を決めて、全裸で駐車場へ向かった。カーブを曲がり、バスが見えたが、まだ到着したばかりらしく、駐車場に入るためバックを始めたところだった。止まらず、急ぎもせず、あまり乗り気でないのを我慢して坂を下ったが、でも可愛いと思われるだろうという嬉しさもあるので、どきどきしながらも、少し興奮と嬉しさもあったと思う。完全に嫌なだけなことは出来ないと思う。

 先に到着してしまったので、きおつけして、団体がバスから出てくるのを待っていた。すると、中からは今度は小6とかの小学生ではなくて、麻衣と同じ中学1年生の男女がバスから降りてきた。《うわ、同じ学年の子たちなんだ》と、なんとなくクラスメイトがバスから降りてきたみたいな感覚で、何を言い出すか分からない小学生相手とは別の緊張感があった。つまり、同学年なら、顔や体や性器など、全部を自分と比較されるだろうと思った。自分より発育が悪いとか、自分より背が低いとか、自分より性器が未熟で無毛だとか、そんな風に観察されるのは当然だろうなと思った。

 先生がおりてきて、「きみか。わあ、可愛い少女だな。妖精みたいだね。こんなに素っ裸でも普通に見えてしまう妖精みたいなこどもがいるんだね」と、最大級の賛辞をしてくれたので、嬉しい気持ちだった。中学生は男子から先に降りてきたが、バッジを見て1年生と分かった。学生服の詰襟の黒い服と黒い学生ズボンで、肌寒い日なので手をズボンのポケットに入れてる男子もいた。不良の多い中学とかでなく、普通の大人しいこどもの中学だったみたいで、あまり嫌がらせは言われない雰囲気だなと思った。女子は中学生らしい長めのスカートのセーラー服で、麻衣の中学よりも全体にスカートの丈は長めのようだった。みんなが肌の露出の少ない服装なので、肌を全部露出させてるぼくとの違いが大きいと思った。みんなは普通の中学生で、ぼくだけ特別な妖精で、別の生き物みたいに思われてしまっても仕方ないほどの落差があると思った。

 「みなさん、わたしがみなさんの人体展のご案内をする久保田麻衣です。中1で、見たら分かるけど、女の子です。好き嫌いがあると思うので、わたしが気持ち悪い子は列の後ろの方にいると見えないから大丈夫ですよ。逆にわたしを見たい子は前の列で好きなだけ見てください。人体展なので、どうぞわたしの体とか心も見て、勉強の参考してください」と自己紹介したら、「しっかりしてるんだね」と引率の先生が驚いていた。第一印象では幼児みたいな幼い印象だったのかもしれない。妖精みたいで可愛いだけで十分でガイドへの期待は余りないのかもしれないと思った。

 坂道を先頭で歩いた。真ん中くらいで歩くと、男子にお尻を触られると前回で分かったので、今度は先頭を歩く作戦だった。生徒だけでなく、先生も麻衣の姿を見たいのか、列の前の方を歩いて麻衣についてきた。一度全裸ガイドは麻衣の勘違いと分かり赤面したので、その後まさか再び全裸ガイドをすると思っていなかったので、しかも全裸ガイドを依頼されてするとは思わなかったので、裸教育の女子でも普通はしないことをしてるだけに、どきどきするというか、興奮するというか、エッチな気分だった。ワレメが風にスースーするなと思いながら、坂道を登った。

 「何歳ですか?」

 「13才です」

 「ウソー、小学生かと思った」

 「女の子ですよね。恥ずかしくないですか?」

 「はい」

 坂道には展示物がないので、麻衣自身のことに話が集中した。

 「オナニーするんですか?」

 「しませんよ」

 「丸見えなんですね。かっこいいんだ」

 「ありがとうございます」

 「うわ、お尻の穴が見える」

  そこで笑いが起こったが、全裸なので多少は笑われるのは我慢するしかないと思う。

 「こんなに可愛いのに、うんことかするんですか?」

 「はい、します」

 「そこの穴から出してるんだ」

 「エッチー」と女子が男子の言葉に笑っていた。

 「お尻の形が、小学生みたいで、幼いんですね」

 「はい」

 「まだ全然、おまんこに毛が生えてないんですが、生理はまだなんですか?」

 「秘密です」

 「毛が早く生えるといいですね」

 「はい」

 「どうして、そんなに可愛いんですか。うちのクラスに、こんなに可愛い子はいないのに」

 「え、普通ですよ」

 「そんなことないよなあ、滅茶苦茶に可愛いけれど。クラスメイトと大違い」

 「ふん、あんたなんかに可愛いと思われなくて結構」と聞いていた女子が言い返していた。

 「いつも全裸なんですか?」

 「いいえ、いつもはセーラー服だし、家にいる時はブルマ姿ですよ」

 「どうしてガイドなのに全裸なんですか?」

 「はい、それは人体展なので、ぼくの人体も発表してるということです」

 質問はされるけれど、先頭を歩いているので、どさくさに紛れてお尻に触る男子はいなかった。お尻に触られてもいいんだけど、お尻の山とかなら気にしないんだけど、お尻の谷間とかを触る男子もいるので、それは気になると思う。だって、肛門に指で触られてしまうと、その指の匂いをかがれて、変な匂いがしたら凄く恥ずかしいと思うからだ。いくらこどもでも、肛門の匂いを男子の指につけてしまうのは申し訳ないし、恥ずかしすぎると思う。坂道で上の方を歩いてるので見えるのは仕方ないけれど、触られるのは困るかなという気分だ。それに肛門はぼくがうんこを出している、一番生々しい部分だけに、その穴に触られるのは、いくら裸教育児にされていても、エッチすぎることだと思う。ぼくの肛門に触ったことを思い出してオナペットにされたりしたら、同じオナペットでも、幼い外観を思い出してオナペットにされるのと比べて、かなり恥ずかしいオナペットだと思う。全裸で異性の前にいるのだから、オナペットにされるのは覚悟の上にしても、あまり惨めな想像をされるオナペットになるのは赤面だと思う。体の変な部分の匂いとか感触を思い出すのでなく、ぼくの体や心を思ってほしいと思う。ぼくだけでなく、全裸マスゲームさせられてる子なら、みんな、エッチな目で見られてしまうことは、もう中1にもなれば知ってると思う。だから何も知らず、恥ずかしさも分からないから全裸運動会をしてる幼児とは違うと思う。でも、だからこそ、全裸発表することで、恥ずかしさに負けない強い心とかを知ってもらえるし、エッチで残酷な姿だからこそ伝えられるものもあると思うのだ。それは大勢での発表でも一人の発表でも同じと思う。させられてる女子にとっては、惨めなだけ、恥ずかしいだけの全裸発表なのかもしれないけれど、それで元気が出る人や、勇気をもらえる人がいるなら、惨めな子にされてもいいと思う。昔のように生贄にされるのは絶対に嫌だけれど、一時的にさらしものにされるくらいなら、我慢できないほど弱い子でないと思う。強い子に教育されてるんだから、負けたらダメなんだと思う。

 エントランスホールは無人だった。そのまま展示ホールに入り、前回と同様に説明したが、前回ほど律儀に質問に答えず、華子のように要領よく質問に答えて切り上げた。知識的には勉強したので、かなりパネルの写真について丁寧に答えられるが、そうしていると時間がかかりすぎてしまうと思う。華子だと質問には要領よく切り上げていて、それと比べると自分が馬鹿正直に答えすぎていたと思った。前回と同じで知識で答えられる質問は簡単だったが、答えにくい質問やエッチな質問もあり、でもなんとか上手に答えて最初のスポーツの歴史のエリアの返答はまあまあだったと思う。

 水野玲子の入っていた剥製台には、今はこどもの右手が飾られていた。「気持ち悪い」と言ってる声が聞えた。でも、この手は生きている心配はなく、その意味では水野玲子の剥製よりは怪しさはないと思った。謎だらけの物が飾られているほど複雑な気分にならないのがいいと思う。それに水野玲子の剥製を見た小6ほどには中1は興味を示さず、素早く次のこどもの身体のつくりの説明のコーナーに移動できた。女子の生殖器の模式図と模型も手早く説明した。オチンチン丸出しでオチンチンの説明をしてる男子と似たようなもので間抜けなので、あまり長く説明したくないので、テキストと同じことをサッと説明して終わりにした。

 「実物で見せてほしい」と言われたけれど、大勢の前でワレメを左右に広げたら変態少女みたいなので、「模式図で我慢してくださいね」とお願いした。本当にそれで勉強になり、男子の役に立つなら、ぼくは丸見えになってもいいけれど、でも小6みたいに気持ち悪いとか白眼視されたくないと思った。それに、やはり大勢の前でワレメを開いてみせるなんて、惨めな子と思う。マスゲームなどで結果的に見えてしまうのは裸教育児なので仕方ないけれど、わざと見せるのは、やはり露出狂の変態みたいで、嫌だなと思う。

 ぐるっと回って、麻衣も全裸で発表した展示台まで到着した。

 「これって人形ですよね」

 「はい」と返事したが、嘘でもない。人形役をしてるのだから、人形と言えなくもない。

 「人形より、麻衣ちゃんの方が可愛いですよ」と先生が誉めてくれたけれど、飾られた子の前で言われたので、飾られてる女子には少し申し訳ない気分だった。身長的には麻衣と同じくらいだが、麻衣よりは微妙に痩せていて、あばら骨が普通の四つん這いでもよく見えた。体重は麻衣より数キロは軽そうだった。頭は低いし、お尻は普通の位置だし、土下座してる全裸少女に見えなくもないけれど、お尻の穴とか性器とかは見えにくく、麻衣のミホのポーズほどはエッチでないと思った。それに、麻衣のようにむきになって触ろうとする生徒もいないので、割と安心して「バレーボール部の少女の姿を表したものです。全裸なのは、バレーボール部の少女のブルマは少女ではないので、少女そのものを見てもらうために、全裸にしてあります」と説明した。

 一周して坂道を下ると、再び麻衣のことを色々と聞いてきた。

 「どこに住んでるんですか」

 「内緒です」

 「趣味はなんですか?」

 「ピアノです」

 「アニメは何が好きなんですか?」

 「キューティーハニーです」

 「幼稚なんですね」

 「え、キューティーハニーは大人が見ても面白いと思いますよ」

 「どんなパンツなんですか?」

 「エッチー」と、男子の質問を聞いていた女子が言っていた。麻衣を質問攻めにした男子が数人いたので、ぼーっと坂道を下るというよりは、せっせと無難な答えを考えながら坂道を下っているかんじだった。

 「男子のなまの性教育になったと思う。見せてくれてありがとう」とバスに乗り込む男の先生から感謝の言葉を言われた。今度は前回のように悪口を言われることもなく、無事にガイドを終えた。バスが動いても生徒が手をふってくれるので、ぼくもバスが見えなくなるまで手を振って見送った。バスが見えなくなったので、道路を横断して坂道を登り、エントランスホールに戻った。

 すると、主催者が奥の部屋から出てきた。そして「ご苦労さん」と言ってくれた。

 「ガイドは上手だね。去年のしどろもどろになっていた女子とは大違いだ。ぼくよりも上手なほどだ。それに可愛いときているから最高の逸材だ」

 「ありがとうございます」

 「ところで、今、剥製を撤去してしまったので、仮展示物が飾られてるだけなので、入って展示されないか? まだ閉館まで2時間以上あるんだから、エントランスホールにいるだけでは退屈だろう」と言われた。まだ剥製役は無理だと顧問から言われていたし、副顧問にも剥製役は難しいと言われていたので、ぼくが剥製に見える自信はなかった。

 「剥製は下手だと思いますよ」と素直に思ったことを答えた。

 「素晴らしいガイドをしてくれたお礼だから、剥製に見えなくてもいいよ。せっかく、可愛いんだから、見てほしいなら展示台を使っていいよ」

 ぼくは剥製姿を演じる自信は皆無だった。そもそも練習すらしたことがない。人形と剥製は似ているが違うと思う。もともと人工物のものを真似る方が、もともとは生きていた少女の特殊な死体を真似るよりは簡単な気がするし、事実そうなのだろう。でも、水野玲子が剥製なのか普通の中学生なのか興味津々で、一応の結論は出たけれど、それは隊長の言葉から導いた結論にすぎないので、実際に展示台に自分も飾られてみることで、展示台で剥製姿になるのはどんな感じなのか確かめてみたかった。少なくとも実際に入ってみれば、長時間耐えられるものなのかどうかくらいは分かりそうな気がしたのだ。そうすれば、水野玲子の正体がなんとなく分かりそうな気がした。

 「そうですか。それなら展示されたいです」と答えた。好奇心には勝てなかった。

 仮展示というだけあり、ねじ止めはしておらず、ガラスの左右を引き上げるだけで、1面だけガラスの付いていないガラスのサイコロが姿を現した。中の手を台の下の隙間に放り込むと、「ネジはどうする? ネジなしでもいいし、より気分が出るようにネジ締めしてもいいぞ」と訊かれた。「ネジは4本だけ締めてください」とお願いした。10本全部閉めると、5分くらいかかるので申し訳ない気がしたし、かといって0本だと、水野玲子の入れられている時の気分は分からない気がした。水野玲子がボーイッシュで、今日の人形展示中の少女とは比較にならない可愛い女の子だったことも、麻衣に《水野と同じ姿に麻衣もなってみたいな》と思わせたのだと思う。台の中で可愛く見えたというジェラシーみたいなものかもしれない。

 「今日はお客が余りいないから出入り自由だが、あまり出入りしているのも来客の手前どうかと思うので、できれば閉館時間までは入っていてほしいけれど、いいかな?」と言われた。

 「勿論です」と麻衣は答えた。あまり短時間では分からない面もあると思う。

 台が高いので入りにくいと思っていたら、主催者が近くにあったパイプ椅子を持ってきてくれた。椅子を利用して、台の上に乗ると、素早くしゃがんだ。思ったよりも台は小さいと思った。人形の伸びやかな展示というより、四肢を丸めた胎児姿の剥製が入れられていた台なので、小さいのは当然かもしれない。狭いなと思いながら、金属の台の上に仰向けに寝た。そして胎児姿の真似をしてみると、ダンボール詰めほどは狭い箱でないと分かった。むしろ左右が接さないので、金属の上に置かれている感覚が強いと思う。

 「じゃあ、蓋をするよ」と、ガラスを被せられた。上だけでなく、左右にもガラスが入るので、左右はぎりぎり触れない程度の広さだった。もちろん小さく体を折り曲げているから足が触れないだけで、そうでないなら、前後には収まらないと思う。

 蓋をした後、ねじ止めを終えると、主催者はいなくなった。どうやら奥の部屋へ戻ったようだった。かなり窮屈だった。人形の展示台の下のようにくつろげる広さはないのは当然だが、このスペースの中にいるのは同じ姿勢を続ける必要があるので、体力を消耗しそうだなとすぐに思った。それに、頭上の蛍光灯が明るくて、自分の裸体が照らされているような感じがした。しかも背中は金属の感触が伝わるので、単なる物というか、単なる小さな展示物にされている感覚が強かった。金属台に乗せられた、ちっぽけな展示物をしてる感覚が、エッチでどきどきすると思った。ちょっと興奮しそうなくらい、ここに飾られるのは残酷な感覚だ。照らされたガラスケースの中、展示台の中に飾られた、ぼく。恥ずかしい格好だし、狭い場所に閉じ込められてるのも、エッチだと思う。しかも4か所とはいえねじ止めされたのだから、女の子の力では出してもらえるまでは、出ようもないのだ。こんな厳しい狭くさらしもののような場所で、何人もの女子が頑張ったのだから健気なのは間違いないと思う。ぼくみたいに興味本位で入った子を除くと、みんな必死な思いでここに入ったのだろうから、それなりにエッチで残酷な気がした。しかも、ぼくと違って、尿道の中に菅を通された、惨めな感覚の中で頑張っていたのだし、水野などは手足を針金で、胴体を有刺鉄線で縛られて、しかも胸には名札を安全ピンで取り付けられ、しかも口にも肛門にも安全ピンを刺されて異常に長時間、ここに入れられていたのだ。剥製でないなら、ぼくのボロ負けみたいなものなので、剥製であってほしいような気がした。実際に入れられてみると、ぎゅうぎゅう詰めのダンボール詰めほどは苦しくないけれど、展示されてる恥ずかしさは強いし、金属の感覚や、蛍光灯の眩しさなどで、惨め感の強い展示台と分かった。自己評価のまだ低いこどもだからこそ耐えられる空間なのは事実と思う。こんな場所に入れられるのはプライドの高い人には耐え難い苦痛になりそうな気がする。まだ、体罰とか訓練でダンボール詰め程度は普通なこどもなので、展示台の中で飾りになれるのだと思う。ぼくも、好奇心で入ったとはいえ、ダンボール詰めされてる程度のこどもだから、このくらいなら、まあ、かまわないかな、と思った。

 さらしもの感覚の強い、狭い空間だが、頑張って胎児姿を続けた。上から来客に覗かれると、《ぼくって、惨めな子なのかな…》という感覚がとても強い。だから、そういう感覚の好きな自虐的な子、マゾっぽい子には最適な展示台かもしれないと思った。体に何も付けてなくても惨めさ満点なので、これで変なことをされていたら、尿道から管が出ていたりしたら、本当にオモチャの子にされてる気分と思った。数時間ならなんとか耐えられそうな空間だったが、ここに2日間いろと言われたら「無理です」と言うと思う。結論的には、やはり水野は剥製だろうな、という結論だった。ここに2日いるのは単なる忍耐力だけでなく、体力も必要と思う。でも、入っているうちに、手足を縛られ体も固定されてしまうことで、逆に意識的に体型を維持するよりは体力がいらないのではないかと思った。それは入って分かった。ここで胎児姿を続けるのは筋力が必要で大変なので、かえって縛られて体型を変えられないようにした方が楽かもしれないという気がした。動きたくても動けないなら、かえって我慢しやすいかもしれない。それに今は明るいから無理でも、真っ暗になれば睡眠も可能かもしれない。それから、安全ピンは突き刺さってるように見えたけれど、実際に突き刺さってると確かめたわけでもないし、出血もしていなかった。たまたま刺した場所が血管からそれていたのだろうか。

 同年齢くらいのこどもに見られている時は、《ぼくって、なんて格好をしてるんだろう》と、はしたない姿に赤面するばかりだった。窮屈で2時間は大変な忍耐だったが、もう頑張りぬくしかなく、ようやく出してもらった時には「フーフー」言って、涙ぐんでいた。

 「おいおい、大丈夫か?」とランボが言った。

 「どうでした?」と主催者が訊いた。

 「はい、大丈夫です。ちょっと狭いから、疲れただけです」

 「そうか」と、ランボが展示台から出してくれた。たった2時間少々でここまで苦しいなら、やはり水野は剥製だろうというのが偽らざる結論だった。疲れたけれど、好奇心は満たされたし、面白かったと思う。

 セーラー服を着ると、「展示台のなかだと妖精が眠ってるみたいに見えたけれど、こうして服を着ると、ごく普通の中学生だね」と主催者が言っていた。ちっちゃな展示物になりきった充実感があり、頑張った自分が可愛いと思えた。それと、水野とほぼ同じ姿になれたのも、自分もされてみたいと思っただけに満足感になった。ただ水野は残念ながら、話したりできる機会はないだろうと思った。

 ランボの車で帰ったが、どうして剥製台に展示されていたのか、質問されたので、事情を話した。すると「やはり、今日の人形の女の子、あまり可愛くないと主催者が気にしていたから、とにかく可愛い生き物を飾りたかったんだろうな」とランボが言っていた。

 翌日、華子に再び全裸ガイドをしたことと、剥製の展示台に飾られたことを話したら、「うわあ、あんな狭苦しい場所に、よく入る気になったもんだね。やはりこどもだから、狭い所が好きなのかな…」と華子が面白がっていた。華子は人形はいいけれど、剥製は嫌だと言っていた。

 人体博は麻衣の時が最後だったみたいで、その後はこどもが準備できなかったし、よい展示物にも恵まれず、再び開催されることはなかったということだ。数年続いた人体博の歴史の中で全裸ガイドをしたのは、ぼくだけだった。あんなことをしてしまったのだから、やはりぼくは幼稚っぽい女子中学生だったのかもしれないと思う。


 113、合同発表会まで

 貸しホールのローカルな展示会が終わると、秋も深くなり、もう冬の合同発表会も近くなっていた。合同発表会はみんなが参加するので、一日園児とか人形発表のように、出来が悪いから脱落して出れないということはなかった。もっとも麻衣はここまでは、出てばかりだった。麻衣以外の数名が、こどもが裸で発表するのが面白いらしく依頼もあるようで、麻衣とは別のところで全裸発表をさせられていたのだが、でも、残りの子は運動会以降は一度も発表はなく、地味に体育館などでの練習ばかりのようだった。練習ばかりで発表がないと張り合いがなくなるので、その意味でも部員なら絶対に参加できる合同発表会は意味がある大会だった。でも、合同発表会で発表するマスゲームの内容は合宿で習うので、学校で合同発表会のマスゲームの練習をすることはなく、大会が近づいたからといって特別な練習とか技の習得はなかった。

 人形発表が終わったら、箱詰めにされる訓練もなくなり、ダンボールも体育館から撤収されていた。箱詰め特訓みたいなものはなくなったが、だからといって、厳しい精神修養の練習がなくなったわけでなく、体育館を他の部が全部使う日には、体育倉庫で特別特訓があった。でも水を飲んで走るようなメンタルトレーニングのように苦しいものではないが、結構恥ずかしいものがあり、恥ずかしがり屋の麻衣には大変だった。体育倉庫は左右に大きな棚がある。金属製のラックみたいなものではなく、木材で倉庫に直接取り付けられた頑丈な棚だった。右側の上下の幅が広い棚には、ボールとかネットとか跳び箱とか色々な体育用具が置かれていたのだが、反対側の左側の上下の幅の狭い棚に置かれた小物は別の保管場所に移してしまったので、使っていないで、空っぽだった。その空いた、奥の深い本棚みたいな場所を使うトレーニングだった。ジャイアンのミーティングで言うには、以前いた裸教育の小学校では、ブルマ1枚姿の女子を金属ラックを使ってメンタルトレーニングをしていたと言っていた。ラックを使うと、狭いスペースで女子小学生を鍛えることができるので重宝していたようだ。棚は物を置けるだけでなくトレーニングにも便利という話だった。例えば体罰で運動場や体育館に仰向けとかうつ伏せに「きおつけ」をさせると広いスペースが必要で、運動場でそれをすると他の児童が使うのに邪魔になるということだ。ところが、金属ラックにこどもを乗せて「きおつけ」させると、狭いスペースでこどもを反省させられるので便利だと言っていた。体罰だけでなく、精神力をつけるのにも便利という話だった。

 体育館の体育倉庫の棚は上下の幅は狭いが奥行きは畳一枚分くらいがあった。ジャイアンによると金属ラックは奥行きがないので、横向きにこどもを並べるしかなかったが、体育倉庫の棚は奥行きがあるので、縦向きにこどもを並べられるのが便利という話だった。だから、場所のとれない日の部活は積極的に棚を利用していく方針なのだとミーティングで説明された。縦むきに並べられるといっても、足を真っ直ぐに伸ばすと、棚から足が出てしまうので、縦向きできおつけするのは無理だった。体罰できおつけで反省する場合は横向きに並べられた。その場合は奥の子は手前から見えにくいので気楽なのだが、手前の方に横向きになってる子は、様子がバレバレなので緊張すると思う。でも、それ以外の場合は縦向きに並べられることが多かった。

 土下座の姿勢の時は、頭を手前にして縦向きに入れられた。足を折り曲げた土下座姿になれるギリギリの高さがあるし、土下座の姿勢だとちょうど縦向きでも女の子が棚に収まった。頑張れなくて叱られるときなどに、女子全員が棚に入れられて、棚の中で土下座して《先生、頑張れなくてごめんなさい》と土下座して反省するということだ。長時間、ブルマ1枚で体育館で土下座姿をされたらスペースが必要で、他の部活をしてる子が狭くしか体育館を使えなくなるので、棚の中に入れられて土下座だと、もともと使ってない場所の有効利用になるし、体育館も使うスペースがゼロになるので、とてもいい方法なのは間違いなかった。でも、ブルマ1枚で棚の中に物のように入れられて反省するのは、最初は幼稚っぽいみたいで恥ずかしい気がしていたが、慣れてくると実際問題として反省中までスペースを取るよりは、スペースを取らずに反省する方が、健気に反省してるみたいでいいかなと思うようになった。でも5段ある棚の下の方の段にぎっしりと入って土下座している女子は、やはり幼稚っぽい気がする。土下座だとあまり棚のスペースを必要としないので、下から2段を使うとほぼ全員入れるのだが、入り切れない人は3段目というかんじで、上の段は使わなかった。土下座姿で特に恥ずかしいと思うのは、厳しく叱られた場合で、その場合はブルマなしで土下座させられるのだが、そういう場合は先生に謝るのではなく、こんなダメな子でごめんなさいと神羅万象の全ても謝れと言われて、頭を奥に向けて棚に入れられた。要するにお尻を手前に向けて土下座することになるので、女子全員が肛門を見せて土下座することになる。

 一度先生に簡単なお手伝いを頼まれ、その結果遅れて部活に行った時に、部員は全員体育倉庫だと教えられて行ってみると、女子全員がずらっと棚の中に並べられて全員肛門を見せていたので、《うわ、幼稚っぽくて恥ずかしい子たちだな》と思ってしまい、《え、これ、ぼくもするの?》と、とても恥ずかしい気分だった記憶がある。棚の中に物のように入れられて土下座姿で肛門をずらっと並べている女子は、赤ちゃん軍団みたいな幼稚っぽさで、こんな女子たちの中に自分も加わらないといけないんだと恥ずかしさとエッチさで興奮してしまったのを憶えている。平気な子は何も気にしないで棚に入るので、やはり麻衣はそういう子たちよりは、照れ屋というか恥ずかしがり屋だと思う。

 でも、お仕置きの土下座姿はまだ赤面さではましな方だった。麻衣が一番赤面と感じたのは、やはりメンタルトレーニングで棚を使う場合だった。マタを拡げる痛さと恥ずかしさを我慢する「股裂きのメンタルトレーニング」で棚を使う場合はかなり恥ずかしい気分がした。体育館で同じメンタルトレーニングをしていても、大の字とか、うつ伏せ大の字と余り大差がなく、そんなに恥ずかしくないのだが、棚で同じことをするとかなり恥ずかしい気分がする。頭を奥にしてうつ伏せに棚に縦向きに入り、手のひらは頭の上につけるのだが、足は棚からはみ出さないように左右に大きく開脚するのだ。開脚して棚に入ることになるので、1人1人にスペースが必要で、棚は5段全部を使うことになる。棚の手前にいる人からは、こどもの足と股座が見えることになり、太股とエッチな部分ばかりに目がいく恥ずかしい格好だと思う。女子全員が棚の中で、股を拡げているので、男子が見たらかなり強烈なメンタルトレーニングだと思うが、倉庫のドアを閉めた状態でさせられるので、先生以外の男子にはメンタルトレーニングを見られることはなかった。5段ある全部の棚で、女子が大股開きしているのは、さらしものの女子中学生みたいで、エッチで惨めな子たちかもしれないけれど、変なことをさせられて頑張るからこそ精神力もつくのだし、広く体育館を使える部もあるということなので、我慢するしかないと思う。いくらさらしものと言っても実際に見られるのは、顧問や副顧問や校長や視察に来た先生だけなのだから。女の子は、バレエでも、舞踊でも、新体操でも、とにかく股を大きく開かされることが多い。それはエッチであろうがなかろうが、実際にそうなんだから仕方ない。麻衣たちの部のすることは主にマスゲームだといっても幼児向きの新体操みたいなものなのだから、もちろん基礎は股を開くのは当然だと思う。それが恥ずかしいなら、マスゲームだけでなく、バレエも、舞踊も、新体操も、器械体操も、運動系は何もできないと思う。だから、たまたま部活が裸教育なので、結果的に、はしたない姿にされてしまうだけで、股を開かされること自体はエッチなことではなく、普通のことだと思う。

 でも、体育倉庫はましな方で、一度合宿で奥行きのないパイプのラックを2個並べて奥行きを作った金属棚で、全裸で大股開きをさせられた時は恥ずかしかった。ラックの全部の棚に全裸で大股開きした女子中学生がいるのだから、エッチだと思う。させられたぼくは、まるで先生にお尻の穴とかワレメちゃんを見せてるような気分で、実際に先生からは丸見えなので、かなり恥ずかしい気分がした。「強い子なら、しっかりと股を開け」と言われて、「はい」と返事して、大きく開いたんだけれど、負けないぞという気持ちが恥ずかしさを辛うじて上回ってるだけな気分だった。訓練でマタを拡げてるだけなんだから、恥ずかしくないぞと自分に言い聞かせて頑張ったんだけど、それでも恥ずかしかったのだから、ぼくは相当恥ずかしがり屋なのか、ませてるか、どちらかだと思った。白木でも原でも可哀想なくらい真剣にラックの棚で股を拡げてるのに、ぼくはエッチで赤面な気分がしてどきどきしてたのだから、すぐに恥ずかしがる方なのは間違いと思う。

 メンタルトレーニングとしての長時間の大股開きは辛いけれど、スポコン系の新体操教室などで、大人に押さえつけられて、股が痛くて泣くこどもが強引に股裂きされるのよりは、ましだと思う。限度を超えて股を拡げさせられると激痛が走るので、それと比べると、物扱いが嫌とか恥ずかしいから嫌とか言っていられるのだから、ラックを使ったメンタルトレーニングはまだましだと思う。たまたま省スペースのために棚や金属ラックを使ったものだから物扱いみたいでエッチな気分になっただけで、女子が股裂きをされるのはスポーツの基礎で、裸教育の基礎が蛙逆立ち姿なのと同じくらい基礎的なことだと思う。だから股を開かされて文句を言うのは、スポーツそのものを否定してるようなもので間違っていると思うのだ。だから、恥ずかしいと思いながらも、金属ラックの3段目に入れられたのに負けずに大股開きをきちんと頑張れたと思う。ラックだからって物を飾るとは決められてないのだし、女子のワレメを飾られても、それに負けないのが強い子だと思うのだ。

 箱詰め特訓のなくなった体操部だったが、そんなわけで、けっこう厳しいメンタルトレーニングはさせられていたので、甘い部になったわけではない。そもそも人形発表の候補にならなかった部員は箱詰め特訓自体してないのだから、部の厳しさは同じなのだ。ただ体力づくりは更に減ったと思うし、全裸になると急に何故か困難になるシンクロした動きができるようになる訓練は逆に増えたと思う。それは合同発表会の前だから、とにかくマスゲームで集団の動きを乱して顰蹙をかうことがないための練習なのだと思う。一糸乱れぬ全裸少女の動きだからこそ価値があるので、バラバラではやる気が無いみたいに見えてしまうから、見てる人もしらけてしまい、元気も勇気も伝えることはできず、無価値な発表になってしまうと教えられた。

 それは、その通りと思う。全裸にはなるけれど、ストリップショーをしてるのでも、エロの見世物でもなく、裸教育の成果を発表するというだけなのだ。だからエッチに見えるとか見えないとかよりも、全裸でも真剣に頑張れる姿を見せて、強い心や恥ずかしさに負けない心を見てもらい、勇気や元気を得てもらうのが目的なのだから、バラバラな動きでは真剣な姿に見えないので、エッチなだけの変態ショーになってしまうと思うのだ。単にブルマを脱がされる厳しい発表というだけで、裸教育されてる女子の健全な体や心を発表する場なので、裸教育の成果が伝わらないと意味がないと思うのだ。させられてる女子は惨めなだけな姿かもしれないけれど、それで元気になってくれる人がいるなら、それでいいと教えられた。でも、元気にすらなれない発表なら、ただの惨めな子というだけになってしまう。それが嫌なら厳しい練習を頑張るように言われたが、そんな厳しい練習に受けて立つのが、かっこいいと思う。負けないぞ、オーっ!


 114、合同発表会の合宿

 小学校時代なら冬は寒いので裸教育であることは大変だったのだが、中学時代は裸の生活とかでなく、部活の時間だけ脱ぐだけなので裸教育といってもたいして寒くないと思った。しかも部活はミーティングや体罰の時間を除くと、ほぼ運動しているので、体を動かしていればブルマ1枚でもさほど寒くもないと言えた。でも、合同発表会の合宿では、やや寒かった。ややというのはブルマ1枚ほどではないのだが、温かなセーラー服でもなく、要するに冬なのに保温性の低いブルマと半袖で過ごしたから寒かったという意味だ。小学時代のブルマ1枚きりで1日を過ごすほど寒いわけではないのだが、上半身は半袖シャツだけだし、下半身はブルマとパンツだけなので、強力な保温性のあるものは身に着けていないので、じっとしていると寒いと思った。

 出発はバスに女子体操部員全員が乗せられて合宿所のある場所まで移動したが、合宿所が使ってない学校を利用して合宿をするだけなので、ホテルとか宿舎で合宿するのと違い暖房設備がなく冬には寒いのは当然だった。発表は学校の運動場ではなく、町のグラウンドでするので、合宿所と発表場所は全然別の場所だった。合宿所は山がちな田舎の風情だったが、発表するグラウンドはそこそこ街中で、周囲に樹木も多いけれど、建物もそこそこ多く、だいぶ雰囲気が違っていた。合宿所から発表するグラウンドまではバスで30分ほどだったと思う。小学校時代は合宿なんてしたことがなく、みんなと一緒に宿泊したなんていうのは修学旅行くらいだった。だから貴重な体験ではあったのだが、なにせ冬なので体操着姿では寒かった。

 合宿へ行く日は朝学校の正門付近に体操着で集合して、バスで出発したのだが、早朝のせいか息が白かった。替えのパンティー6枚と替えのブルマ1枚に替えの半袖シャツ1枚だけで、ナップザックの中の荷物は軽かった。パンティーだけ毎日夕方にシャワーを浴びてから替えて、体操着は3日目に替えるので、不衛生というわけでもなかった。合宿は7日間だったが、6日目にリハーサルがあり、7日目は発表だったので、7日目は体操着も下着も汚れないので、6日分で結果的にはやはり十分だった。行きのバスは、これから大変に過酷な体験をするという悲愴感もなく、遠足感覚で賑やかだった。そもそも合宿の内容を知らないのだから遊び感覚になっても当然と思う。バスの中では、華子がマイクをつかんで歌いまくり、まるでバスガイドさんみたいな状況になっていた。ランボは合宿での指導役の一人としてバスに乗っていたのだが、副顧問は用事があるとかでバスには乗っておらず、リハーサルと本番の日だけ顔を出した程度だった。白木も顧問も副顧問も合同発表会の合宿の内容については何も語らないので、《合宿したら突然全裸にされるのかな》とかみんな思っていたら、「体操着は着たままで体育館に集合」と言われたので、「あれ、裸教育しないのかな?」と不思議な気分だった。でも、これは後から知ったのだが、学校の部活や少人数の合宿では、裸に慣れさせるために、なるべく脱がせていたようなのだが、合同発表会の合宿の頃には逆にみんなが裸に慣れっこになっているので、発表以外はなるべく体操着を着せておくことで、発表の時に新鮮な感覚で発表できるようにという配慮らしかった。確かにずうっと裸で発表会も裸では、練習と本番の違いが体感的に少なくなり、特別なことをしているという充実感も薄れると思う。やはり、まだこどもとはいえ、女の子が服を脱ぐことが特別なことだからこそ、その恥ずかしさや辛さを乗り越えるという特別な体験になるのであって、あまり慣れ過ぎて本番を迎えるのも考えものだというのは分かるのだ。本番が恥ずかしいからこそ、恥ずかしさに打ち勝ったという本番の充実感になるのだから、その恥ずかしさの薄れることはあえて避けるというのは、練習重視というよりは本番重視の裸教育だったということなのだろう。

 もっとも、ブルマと半袖とパンティーの3枚を身に着けているとはいえ、冬なのでそれなりに寒く、体育館に移動しても空気が冷たく張りつめている感覚だった。前後左右に2メートルくらいづつに開いて、緊張したかんじで既に他の学校の女子が整列をしていた。知らない先生に「新たに入ってきた子は列の後ろに整列」と言われたので、真似をして2メートル感覚くらいで整列をした。合宿が始まるにあたっての心構えとか注意事項とか生徒の紹介とかを言われるだけなんだろうな、と軽い気持ちで整列していたら、「全員、気合を入れるぞ。今の瞬間から、普通の子でなく、強い子に変身するぞー。全員で変身してみよう」と言われた。《幼児じゃあるまいし、そんな恥ずかしいことできないよ》と躊躇していたら、前の方にいた6年生くらいの麻衣たちよりも発育してない(つまり、まだ第2次性徴前みたいな雰囲気な)幼い雰囲気の子が「へんしーん」とか言って仮面ライダーみたいに変身していた。前の列の他の女子もめいめい変身していたので、仕方なく麻衣も少女アニメ風に変身をした。いきなりブルマの体操着で幼稚なことをしてしまい、《幼稚園かよ》という気分だった。

 変身は終えたけど、普通の子から強い子に変身できた気がしなかったが、けっこう真っ先に変身してた小6風の子などは幼稚な顔をしてるけれど、やはり内面もかなり幼稚なようで「強い子になったぞー」と言いたげな顔をしているなと思った。ほとんどが中1で、よほど素質のある子なら小6でもいいようで、数名だけ小学生もいるという話だった。そういえば昨年、小6のころにブルマ1枚の運動会の後に、担任の先生に「丸裸の可愛い妖精になれる発表会があるんだけど、美少女なんだから大勢の見てる前で妖精になりたいだろ、参加しないか?」と言われたことがあった。《妖精になるのはいいけれど、丸裸になるような幼い年齢でもないな》と思ったので「遠慮します」と断ってしまった記憶がある。でも、断らないで引き受けたなら、あの小6風の子のように、体育館で1年前に変身してたんだろうか、と、ふと思った。そんな子供を素っ裸にするような発表がいくらなんでも、そう、こんなこどもの裸に厳しくなってきた世の中であちこちでやっているとは到底思えないのだった。昔ならテレビのバラエティーでも番組の宣伝でもドラマでも舞台でも映画でも、どんどん小中学生のこどもは大人に全裸にされていたので、あちこちで小さな全裸発表くらいなら普通にあったのだろうけれど。昨年の担任の話では、3日くらいマンツーマンで素っ裸になっても平気な子に練習してから、合宿に行き、その合宿で教えられてから発表という話だった。だから、あの小6風の子は3日くらいマンツーマンで生まれて初めての全裸特訓をされてから合宿に来たのかもしれない。麻衣たちは半年以上も部活動で裸教育されて徐々に全裸に慣らされているから、そういうマンツーマンの全裸特訓は必要ないのだろう。多分、この体育館に集められたこどもは、いつでも素直に全裸になるように育てられた子ばかりなのだろうなと思った。

 「まだ、気合が入ってないな、右側から1番目の列、次が2番目の列だ。奇数列の子は手を上げて」と言われた。最初戸惑ったが、右の方から手が上がったので、麻衣は偶数列なんだな、と、分かった。

 「それでは奇数列の子は馬とびの姿勢になるよ」と言われて、奇数列の子だけが馬とびの姿勢になっていた。

 「偶数列の子は、自分の右側の子の近くに行き、右側の子の方を見てきおつけするよ」と言われた。それで、《うわっ、変身の次は馬とびかよ。なんか幼稚園の合宿みたいなんだな・・・》と思った。さっきの小6風の子は麻衣と同じく奇数列だった。《さっきは、年下の子に遅れをとったけど、今度は負けないぞ》と思った。

 「では、奇数列の子はブルマとパンツを限界まで引っ張りあげるよ。はじめ」という指示だったので、《あれ、馬とびでないのかな?》と思った。次の瞬間には目の前の女の子が健気にブルマとパンツを引き上げていたので、幼い肉付きのないお尻が丸出しになった。ブルマだけでないので、パンツがはみ出していて、幼稚っぽい雰囲気だ。それよりも同じ学校の見慣れた女子とはいえ、隣の女子がいきなりお尻を出したので、ちょっとだけエッチでドキッとした。最初からお尻を出していたら慣れてるので何とも思わないけれど、体操着からお尻を出すのは見慣れていないので、その分はドキッとするんだろうなと思った。先生が体罰でこどものブルマを脱がすときに、それを見てドキッとするのと同じ理屈なのかもしれない。

 「では、偶数列の子は奇数列の子のお尻を力一杯、叩いて気合を入れますよ。はい」

 お尻はよくぶたれるけれど、ぶった経験はないので、どぎまぎしてしまい、《やだ、可哀想》と興奮してしまった。仕方なく、軽くピシャッとぶった。こどものお尻はぶつと軽い良い音がすると実感した。

 「そんな軽くでは、気合が入らないから、逆にぶたれる子が可哀想だよ。もっと力をいれて、2回目、はい」

 仕方なく、さっきより強くぶった。

 「そんなことではダメだ。もっと力をこめて尻叩きしなさい。連続5回、始め」

 仕方なく、力をこめてぶったのだが、女の子は非力なのだろうか、こんなに力をこめているのに、やはりランボが女の子の尻を手加減して軽々と叩いている時の半分のパワーすらないと思った。5回ぶったが、さらにぶつと尻に痛みが残り、練習に差し支えるからなのだろうか、「やめ、偶数は元のように並べ」と言われて、再び2メートル離れた元の場所へ戻った。小6風の子は刺激が強かったみたいで興奮した様子だった。

 《次は麻衣のぶたれる番か。痛いだろうけど、数回ぶたれるだけだから、我慢我慢》と思った。

 「はい、ではジャンプします。空中で大の字になりますよ」と、言われた。《あれ、偶数列はしないの》と思ったが、ジャンプを始めたので、しないのだろう。空中で足を開いて大の字になった。

 「ぶたれた子は気合入ったし、ぶった子もそれを見て勇気をもらったんだから、もっと元気に高く飛び上がりなさい」と言われた。そういうことかと思ったが、これではぶたれた子は損だと思った。

 スポーツブラ風のこどもブラこそしてないものの普通の半袖とブルマと赤白帽子という体操着姿なので体育の授業のような気分だったが、体育で尻叩きはしないと思った。

 「では、次は片手を突き上げて、高くジャーンプしてグリコのマークになるよ。グリコー」と言われた。

 心斎橋のグリコのマークを思い出しながらジャンプをした。何種類かの格好でジャンプした。

 それが終わると、今度は四つん這いになり、片足を上げて「犬のおしっこ」をさせられた。実際にオシッコするわけでないのだが、「オシッコー」と言われて片足を上げるのは赤面な気がした。小学生のやるような技をいくつかした後で、ブリッジをさせられた。ブリッジの時間が10秒ほどなので、苦しいというほどでもないのだが、体育では「おへそを、もっと高い位置にしましょう」と言われるのに、ここでは「おまんこをもっと高い位置にしなさい」と言われるので、そんな風に見られてるのかなと、少しエッチだなと赤面してしまった。

 簡単な器械運動風の運動が終わると休憩15分になった。みんな同じ学校どうしのようだが、小6風の子が1人なので「ねえ、6年生なんですか?」と思い切って声をかけてみた。そうしたら、案外人懐こい可愛い子で、名前は一色由佳といい、12才で、麻衣のいた小学校の後輩だと分かった。《なあんだ、それなら裸には慣れてるんだな・・・》と思った。でも、その子は驚いたことに麻衣のことを知っていて、学校で見たことあると言っていた。「どうして知ってたの?」と訊いたら、学校では有名人だったから、という答えだった。なんか変な答えだなと思ったが、同じ小学校だったので、麻衣たちの仲間に引き入れた。華子が面白がってあれこれ訊いていた。華子も可愛いし美少女だけど、この後輩はまだ小学生ということを差し引いても、明らかに華子より可愛いと思った。しかも妖精みたいで、素っ裸の似合いそうなこどもだなという気がした。女の子でも可愛いと思ってしまう女の子だからこそ、この発表会に組み込まれたのだろうな、と思った。それが幸福なことか、恥ずかしいトラウマになるかは、本人の考え方次第だと思った。

 休憩が終わったので、さっきの基礎的な運動の続きなんだろうなと思い2メートル間隔で整列した。そうしたら、「よしと言われるまで、きおつけをして、合宿で頑張るぞという気持ちを高めましょう」と言われて、ただ単にきおつけしてるだけだった。きおつけといっても、緊張感の強い幼児みたいなきおつけなので、ひたすらきおつけをしてるのは大変だった。でも、きおつけは、いい子みたいな気がするので好きだったので、多少の大変さは余り気にならなかった。先生らしい人は体育館からいなくなり、ようやく「よし」と言われたのは30分後くらいだった。

 それから、仰向きに体育館に寝て、ダンゴ虫みたいに小さく体を丸める運動をした。これも「よし」というまで、ずうっと丸まっていないとダメなので、こちらの方は、きおつけよりも少し大変だった。でも強引に体を小さく丸めさせられるダンボール詰めよりは楽だと思った。

 結局、こちらも30分くらいもさせられたが、体操着姿なので、案外精神的には楽で、ブルマ1枚でしごかれている時ほどの緊張はないと思った。昼は太らないように量は少なめだったが、味の良いレストランのような昼食だった。料理そのものは申し分ないんだけれど、学校の給食のような味の悪いものではないのだけれど、量だけは物足りないと思った。美味しいから、余計にもっと食べたいと思ってしまったのかもしれない。

 午後からは本番で発表する技を全員ができるのかチェックだった。でも、これは、麻衣は特別に体が柔軟というわけでないけれど、所詮は運動会のマスゲームで発表した技ばかりだったので、できないということはなかった。他の学校の子で、できない子もいることには驚いた。できないと補習と言われていたが、麻衣の中学の部員で補習の子はいなかった。それから由佳も、柔軟性はもともと高い子らしくて、難なくクリアをしていた。というか、まだ余裕があるかんじだった。体の硬めの子に、余り運動関係の習い事はさせるべきでないと思う。体が硬いと、どうしても劣等感が起きるし、無理にさせられると痛いので、性格が暗くなるか悪くなると思う。せめて標準くらいの柔軟性の素質のない子は、文科系の習い事にした方がいいと思うのだ。でも、由佳のように柔らかめの子なら、普通に出来てしまうので性格が暗くならないからいいと思った。チェックしたり、形をより美しく見えるように修正したりと、合同とはいえ内容的には体操部の部活の延長線のような内容なので幾分ほっとした。それに少なくと運動中なら、部活中よりも半袖シャツの分はかなり温かく、そんなに寒さを感じるというほどでもなかった。


115、合宿2日目

 教室で寝たのだが、クッションと毛布があり、人数がいるせいか体操着だけでも寒くなく、よく眠れた。使用教室はだいたい同じ学校の子同士に分かれたのだが、一色由佳は麻衣と仲良くなったのと同じ学校の後輩ということで、麻衣の教室に来て、麻衣の横で寝た。可愛い小学生で、清潔感と無邪気さがあり、女の子でも可愛いと思うほど美少女だった。雰囲気的には華子を幼くして、少し真面目そうにした雰囲気だと思う。毛布の中で由佳にくっつかれて、少しだけレズでもないのに興奮してしまい、体操着で抱き合うようにして寝た。朝は放送で起こされて、テーブルのある部屋へ移動して簡単な朝食の後、30分ほど休憩時間があった。

 休憩時間は一色由佳に興味が集中してしまい、いつもは華子と話すのだが、この日は華子は麻衣と由佳の話をアハハと笑いながら聞いてるだけだった。いきなり練習もマインドコントロールもされずに過激な裸教育の合宿にこんな純真そうなこどもが来て大丈夫なんだろうかと、ちょっと思った。それで、いろいろ訊いてみた。由佳は一応、予備の練習をしてきたようだ。

 「昨年ぼくが聞いた話だと、3日間、裸教育の合宿でも平気で頑張れるように、予備練習をすると聞いたんだけど、そうなの?」

 「うん、3日間、1人だけで練習したよ。先生は交代で2人いて、一人は技を教えてくれた」

 「技って?」

 「蛙逆立ちとか、ブリッジとか、半ブリッジとか。あとうつぶせに寝て、手足を先生に持たれて曲げ伸ばしをされたりとか…」

 「なんだ、普通の器械体操の技とかストレッチ運動なんだね」

 「そうだよ」

 「それって裸で練習したの? 先生とマンツーマンだったんだよね」

 「先生と2人きりで練習したけれど、寒いから風邪をひくと参加できなくなるからと体操着を着たままだったよ。ブルマと半袖姿。来賓用の部屋みたいな場所だったから、室内なので赤白帽子は被らないで良いと言われた」

 「えっ、じゃあ、一度も3日間、裸になってないの?」

 「そんなことないよ。もう一人の先生が柔軟性を鍛えてくれる先生で、『体を柔くするのには、半袖シャツは邪魔だから、ブルマ1枚になろう』と言われた。でも、学校の裸の生活と同じ姿なので全然気にせずにブルマ1枚にされてたよ」

 「そうなんだ」

 「それで、先生に両足を拡げられたり、床に座ってる先生の両足の間でエビぞって、体を引っ張られたりしたよ」

 「ねえ、スッポンポンとかには、されてないの?」

 「されてないよ」

 「でも、全裸発表だって知ってるんでしょ。全裸に慣れる練習とかはしなかったの?」

 「えっ、『可愛い女の子が妖精姿になる発表会だよ』と聞いただけだよ。え、わたし、全裸にされるの?」

 全裸にされることすら知らずに合宿に来たんだなと呆れてしまった。これでは、この子は発表はショッキングな強烈な体験になると思った。運動とか柔軟性が出来るようにされただけで、心の準備は全然していない様子だった。

 「え、全裸マスゲームするための合宿なんだよ。まあ、全裸で発表するから、妖精と言えなくもないけれど…」

 「妖精って、そういう意味なんだ。うわあ、エッチな発表だな」と、麻衣の話を聞き、由佳は少し興奮した様子だった。いくら可愛い女子で外見に自信があっても、技を見てもらうだけでなくエッチな目でも見られるんだから、自信とは別に恥ずかしさはあるのだから、全裸初体験なら強烈な体験だろうなと思った。ブルマ1枚と違い、ブルマなしだと、女の子の形そのものをズバリ丸見えにするのだから、自分の恥ずかしい部分まで知られてしまう恥ずかしさに耐えないと頑張りぬけないと思う。こんな無邪気そうな小学生で大丈夫なのかなと、全裸ということに驚いてる様子に、はらはらさせられる気分だった。

 「これまでブルマ1枚の小学校だったけど、全裸とかに体罰とかで、されなかった? 麻衣は叱られたとき廊下に素っ裸で立たされたことあるよ」

 「あ、友達が滅茶苦茶叱られて、パンツを下げられてビンタされてるのを見たことがある」

 「ビンタはパンツ下げるのは普通だけど、由佳ちゃんは?」

 「わたしは、何故かあまり怒られた記憶ないし、ビンタもされてないし、全裸にされた経験ないよ」

 「へえ、そうなんだ。確かにクラスで叱られる子は同じ子ばかりで、叱られない子は何故か全然叱られてなくて、小学校で素っ裸にされるのは6年生なら、数人だけだもんね」

 「うん、あんまり、丸裸にはしないよ。可哀想だもん」

 「そうなんだ。麻衣はいっぱい脱がされた気がするけど、優等生だったんだ」

 「優等生でないけど」

 「でもプール掃除とかは全裸だよね」

 「そうだよ。でも、それは3年生がしてたよ。わたしは、5年生の時に立川から転校してきたから、恥ずかしいプール掃除の経験ないな。立川の小学校でも20年前くらいなら、姿勢検査とかで女の子でもブルマ1枚だったらしいけれど、わたしたちの時はふつうに体操着で身体検査だったし」

 「じゃあ、人前で全裸になった経験ないんだ」

 「ならないよ。そんなの、恥ずかしいし。ブルマ1枚だから全裸に近いけれど」

 「麻衣のころはブルマ1枚きりで、下にパンツ穿いたらダメと言われてたけど、同じブルマ1枚でも今年からはパンツを穿いて良いことになったんだって?」

 「そうだよ。5年生は、ブルマ1枚だったけど、6年生になったら、ブルマとパンツと2枚着てたよ」

 「あ、噂は本当だったんだ。甘くなってるんだね。ブルマ1枚だと、食い込んで形クッキリになりやすいから恥ずかしい気分だったけれど、今年から甘くなったんだ。パンツ着用だと、ほとんど食い込まないよね」

 「うん、5年生の時みたいに、みんなブルマにスジつけてるような生活でなくなったかな。それにパンツも履くと、ブルマだけより冬は暖かいし」

 「へえ、そうなんだ」

 「でも、発表が全裸って、本当なんですか?」と、由佳はまだ麻衣の言葉が半信半疑みたいな様子だった。あまりにショッキングなので、信じられないということなのかもしれない。

 「ぼくなんて、秋の運動会でも素っ裸にされてたし、その後も、頻繁に素っ裸にされ過ぎて、全裸でいるのが普通になってきてる面があるけれど」

 「ウソー、まるで裸保育の保育園児みたいですね」

 「うん、憧れの幼児に戻れた気分なのは嬉しいけど、やっぱり13才だから恥ずかしいかな」

 「そうなんですね。わたしは全然全裸なんて先生は言わないものだから、可愛い踊りか何かの発表と思ってました」

 「まあ、丸見えだから、可愛いと言えば可愛いけれど」

 「えーっ、わたし、出来るかな」と少しショッキングだったようで、「ブルマなんて脱いだことないのに」と言っていた。

 そこで華子が「大丈夫なのら。そんなの保育園の子でもしてることなんだから、簡単なのだ」と由佳を元気づけていた。

 「でもさ、ブルマの下にパンツを穿いて良いということだと、業間体育の雨の日とかだと、大丈夫なの? ブルマ1枚なら濡れてドロドロになっても、きれいなパンツで帰宅できるけれど、パンツまでドロドロになったら、気持ち悪いよね」

 「替えのパンツを持ってきてたし、水溜まりのある時は業間体育は中止になったし」

 「へえ。そんなに甘くなったんだ」と、麻衣は驚いた。どんなに土砂降りでも運動場で体操させられた記憶があるのだ。

 「うん、5年生の時は、ブルマ1枚になれるのもショックだし、大雨の中で運動場で頑張るのもショックだったけれど、6年生になったらブルマの下に下着も着ていいし、甘くなったんで助かった」

 「それはいいけど、この合宿、そんなんで大丈夫かな。ぼくは来賓の目の前のテーブルの上とか、先生のひざの上とか、とんでもない場所で全裸蛙とかしてるから平気だけど、全部初体験なんだから、だいぶ驚くかもしれないよ」

 「うん、話を聞いて心配になった」

 「ダイジョブなのら。みんな、してるから同じようにするだけなのら」と再び華子が由佳を元気づけていた。

 練習で二人一組の時は一緒にやろうとか、ぼくも最初はブルマ脱ぐのはショックだったけれど、じきに慣れるからとか、そんなことを話して、それから雑談しているうちに休憩時間は終わった。体育館に移動をした。今日は練習2日目だから、まだマスゲームそのものの練習でなく基礎体力作りとかだろうなと思った。踊りでもマスゲームでも内容が簡単なせいか、これまでは発表内容そのものの練習時間は僅かだった。順番だけ教えられて、いきなり、ぶっつけ本番という発表が多かったのだ。個々の技とか、個々の動きそのものの練習はしっかりしても、発表全体としての練習はリハーサルくらいだったと思う。だから、昨日既に技のチェックも済ませているのだから、今日の練習は体力づくりとかでサーキットトレーニングとかするのかな、それとも体育館で柔軟運動とかさせられるのかな、と思いつつ、予定表も渡されておらず、予定も聞いてないし、経験者の白木は何も語らないし、何も分からぬまま体育館の集合場所に移動し、1日目のように2メートル間隔で自主的に並んで、きおつけして先生の来るのを待っていた。予定時間10分過ぎくらいに、ランボとかの麻衣の学校の先生ではなく、知らない中肉中背の若い男の先生がジャージ姿で来て、挨拶するまで、15分くらいはきおつけをしていたと思う。朝の体育館は寒いけれど、体操着姿なのと、外ではないので、極端に寒くないけれど、ずっときおつけしている間に少しだけ体が冷えたというかんじだった。6年生の由佳も緊張した面持ちで、ピーンときおつけしているのが、形がきれいで、可愛いと思った。顔も可愛いけれど、プロポーションも単に痩せてるだけの葵などとは違い、子供らしい体つきで可愛らしいと思った。麻衣もプロポーションが可愛いと誉められるが、こんなに可愛いと負けそうだなと思った。もっとも可愛いから選ばれたのだろうけれど。やはり素っ裸になる以上は、形の良い、可愛いこどもでないと、見物人に不快感があると思う。美味しそう、食べてみたいと、そう思わせるくらいの子でないと、全裸だと気持ち悪く思われがちになると思う。お尻のお肉とかを美味しそうと思わせるくらいでないと、見てる人はわざわざこどものお尻を見る意味ないと思うのだ。もちろん中国人みたいに本当にこどもが食べられてしまうのは問題だけど、美味しそうに見えるのは可愛いということなので素敵なことだと思うのだ。



i MAI me (愛 麻衣 みい) ~裸教育児の久保田麻衣小学生物語

小学生時代の麻衣を物語風に脚色して連載風に不連続で投稿するブログです。ぜひ愛読者になってください。基本はノンフィクションですが、物語なので面白く脚色されています。ごく普通の6年生の女子小学生(わたし)が、裸教育の小学校に入れられてブルマ1枚にされて学校生活をし、最後にはバレーボール1個を持って半泣きの全裸マスゲームをさせられるまでの日々を日記風に描いたものです。おもしろエッチなので、ぜひ見てね。

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