ひよこ日記 第20節

※女子の裸教育時の服装例(学校によってはパンティー着用のところもある。より裸に近いということで麻衣のところは下着はなしだった。中学マスゲーム発表は、ブルマなしで、赤白帽子のみ)


91、一日園児体験をすることに

 運動会で全裸デビューしてから、スッポンポンで幼稚っぽくて可愛いということなのか、わりと何度もあちこちで全裸を披露したと思う。大きな発表は少ないけれど、ちょっしたことで手軽に全裸にされていたと思う。もともと裸教育なので、手軽に裸にされるのは普通とは思うけれど・・・ 小発表会終了後に校長室に華子と呼び出されて自由発表をもう一度させられたが、その程度のことなら、日常茶飯事で、可愛い幼児(か赤ちゃん)みたいに思われていたんだと思う。赤ちゃんが丸見えで普通なのと同じ扱いだったと思う。

 部活で数名だけ別メニュー(幼児遊び)で練習した結果、白木とぼくと山田という3人が合格と言われたが(合格と言っても単に新聞紙にオシッコが出せただけなのだが)、一緒に別メニューを練習した子も、少しだけ別メニューに参加した子も、3人以外はすぐに新聞紙の上にオシッコが出せずに不合格だったようだ。おそらく、白木は完全に洗脳されてるから、先生の言いなりで何でもするというだけの理由で合格したんだろう。ぼくは≪幼稚園児に戻りたいな≫という願望が心にあったので、幼児のように人前で放尿することに、憧れがあったので、本当にしてしまったんだと思う。そして山田は単純に幼児退行させられていたから、オシッコを出していい状況にされると失禁してしまうんだと思う。とりあえず、他の不合格部員は中学生らしいプライドというか常識的な感覚があったということで、むしろ、そちらが普通と思う。ぼくも幼稚園児にもう一度なりたいという願望がなければ不合格になっていたと思う。華子や葵は最初から別メニューには選ばれなかったので、どちらかというと、外見のあどけないタイプが選抜されたんだと思う。でも、それが何のための別メニューだったのかは、当日まで知らされていなかったので、≪人前で幼児のふりでもさせられるのかな…≫と思った程度だった。

 朝のHRの前に合格者3人が体育館に呼び出された。今日の授業は自習とか体育とかが中心で割と勉強は暇だなと思っていたら、突然呼び出されたので≪あれ、予定と違うな≫と思った。体育館に行くと顧問と副顧問がいて、そこに3人が集合した。

 「この3人は幼児テストに合格した優秀な部員なので、今日は〔一日幼児体験〕をしてもらう」と、顧問に言われた。副顧問はパイプ椅子に座って黙って赤マルをふかしてるだけだった。タバコの煙が臭かったが仕方ないと思った。

 「はいっ」と、3人は声をそろえて返事した。

 「幼児体験といっても、ちっとも難しいミッションではない。いつもは、大人ぶって、大人の仮面を被って生活してると思う。まあ、中学生だからな、幼児のようにしてるわけにいかないだろ。でも、今日は大人の仮面は被る必要はなく、ありのままの幼いままの自分でいるだけだ。だから、いつもより、むしろお前たちには簡単なことだ。本当の自分を見てもらうだけなんだからな」

 「はいっ」

 「具体的には、裸保育の保育園へ行ってもらう。お前らが小発表会をした広場で数年前までは全裸運動会とかしていた元気な保育園だが、社会情勢に合わせて普通の短パン1枚の運動会になり、運動会も園庭でするようになったみたいだ。観客は父兄だけになったということだ。また保育園内でも数年前までは全裸でこどもが走り回っていたのだが、それが日常風景だったのだが、現在では男女共に短パン1枚着用になってしまった。幼児といえども性器を出すのは異常という判例が出てるほどだから社会情勢としては仕方がない変化なのだが。だから、現在は、もう幼児といえども短パンを脱がすことはないと父兄にも説明してるようだ。それは素晴らしい英断なのかもしれないが、園児が全裸だったころと比べると、園児は大人しくなってしまい、短パン1枚なのを寒がったり、恥ずかしがったりするこどももいるようだ。まあ、短パン1枚では実際に夏以外はすべて寒いのは、小学校でブルマ1枚生活をさせられたお前たちなら理解できると思う。それに、もうすぐ小学生になる年長組の子が裸を恥ずかしがるのも分かる。裸保育も以前ほど人気はなく、批判的な親もいるようだ。その保育園で、お前らに一日園児になってもらう」

 「はいっ」

 「裸は恥ずかしいことというのは園児がそう思ったというより、そんなことを言う大人がいるから、その影響で勘違いをしてるだけだと思う。園児がのびのびと裸で生活できないとしたら、人生のいつの時期にそういうのびのびとした時代があるというのだろう。お前らのミッションは、そういう幼児に勘違いを気付かせ、全裸保育だったころのような元気さを取り戻させることだ。でも親に短パンは脱がさないと説明してあるので、素っ裸にして元気を取り戻させることはできない。それに裸は恥ずかしくないと押し付けても、批判的な親が別のことを言うので仕方がないことだ。そこで、この3人に今日は模範的な幼児を演じてもらうことになった。園児の前で実際に裸になって一緒に生活することで、『裸は恥ずかしくないし、寒さなんて裸で跳ね返せる』ということを、園児たちに見せてあげればいいだけだ。実演することは、言葉の説明にはない説得力があるということだ。でも小学校でもブルマ1枚生活はさせても、素っ裸にすることは少ない時代になった。もっと昔ならプール掃除だけでなく、ちょっとしたことで手軽にこどもは全裸になれたものだが、現在では小学生を素っ裸にして模範園児にするのは無理だ。だから、お前ら部員に白羽の矢が立ったということだ。園長は運動会のマスゲームの様子を見て、体操部の女子のことが気に入ってしまったということだ。その中でも特に幼い3人を1日園児として貸してほしいという話がきた。そこで、今日はお前ら3人を保育園に貸すことにした」

 「はいっ」

 「裸でも絶対に恥ずかしがることなく、堂々としていること。そして、寒がらず、幼児になりきって生活をすること。それだけだ。それから、もう大きい子なんだから、幼児と喧嘩したり、口喧嘩をしたりしないこと。仲良くすること。出来るな」

 「はいっ」

 「職場体験の一日保育士さんとか、一日お姉さんとかではない。そんなことする必要はない。そういうのが上手なプロの人なんて大勢いる。職場体験に行くのでなく、あくまで本物の園児をしに行くのだから、それは勘違いしないように。ただの幼児並みのチビッコになりきればいいだけだ。そのために数日訓練したのだし、お前らには出来るはずだ」

 「はいっ」

 職場体験とかで保育園とか幼稚園へ行ってみたいとは麻衣は思っていたけれど、将来の仕事の下見に一日保育士さんとかしてみたいと思ってはいたけれど、まさかの一日園児ができるということに、嬉しいような大きい子なのに恥ずかしいようなショッキングな気分だった。幼児に戻って幼稚園生活をしてみたいという心に秘めた願望が本当に実現してしまうとは、驚きでしかなかった。夢は夢だし、現実は現実なので不可能な願望と思っていたら、本当に1日だけとはいえ、中学生の衣(セーラー服)を捨てて、幼児になりきれと言われて、嬉しさ爆発だった。

 服が盗難などで紛失すると厄介なので、体操部の部室に今着ているものを全部置いてきて、それから顧問のマイカーに乗るように言われた。顧問はそのまま体育館前に移動させた白いカローラに乗ってしまい、3人は運動場を端を横切って部室へ行き、そこでセーラー服や下着を脱いで、素っ裸のたよりない姿で再度運動場を横切ってランボの車の後部座席に乗り込んだ。運転は副顧問だが、もう赤マルの火は車の灰皿に消してくれていたので、車内の煙に悩まされることはなさそうだった。顧問は快晴の秋の陽射しが眩しいのか、黒いサングラスをして映画メンインブラックの男のような雰囲気で黙っていた。もう説明は全部体育館で済ませたということなのだろう。もう、その後は何の説明もしてくれなかった。田中が後部座席右側、白木が後部座席中央、ぼくが後部座席左側に座った。左側に座ったのは、車でドライブする景色を見るのが好きなので、外がよく見えるように左側に座ったということだ。小発表会後に数日痛かったぼくの右側のお尻も完全に痛みは消え、体調もよく、睡眠も十分なので頭も冴えていた。一日園児と知り、≪おそらく保育園で脱がされるんだろうな…≫と思っていたら、部室で脱がされたのには意外性があった。最初から幼児扱いされてるみたいで、恥ずかしい気分だったし、運動会の時と同様にぼくの性器が小さく縮み上がっているのが見えた。自分の性器を見たり、窓の景色を見たりしているうちに、どんどん車は移動して隣町の大きな団地に入り、そのカーブした道を上っていくと、左手に保育園らしい建物が見えた。≪あそこかな≫と思ってると、その通りで、車は保育園の敷地に入った。保育園としてはかなり広くて、開放的なかんじで、遠くバスターミナル(小発表会したバスターミナル)辺りまで見えるほどだった。初めての保育園だし、園児として車から降り立つことに、緊張でどきどきしていた。保育園の園児と仲良くできるだろうか、保育園の先生は優しい人だろうか、叱られたりしないだろうか、など、不安で一杯だった。初めて今までとは別の保育園に行く園児はこんな気持ちなのかな、とか思った。車が保育園の敷地内に入ると、保育士さんらしい人が1人、出迎えてくれているのが見えた。副顧問が車を出て30秒ほど保育士さんらしい人と話して、それから車に戻ってきた。そして、すぐに「4時に迎えにくるからな。3人は車を降りろ」と言われた。

 3人は「はい」と返事して、車を降りた。すると車はすぐに敷地を出て走り去ってしまった。保育園の時計を見ると9時過ぎだった。保育士が3人の所へ来て、挨拶すると「3人はいちご組へ行ってくださいね」と優しく言われた。それで保育士さんは行ってしまった。最初から全裸素足なので、足の砂を丁寧に落としてから建物に入った。すると、すぐに「いちご組」と書かれた部屋が見えた。

 「頑張ろうね!」と部長の白木が小声で言った。

 「うん」とぼくが首を縦にふった。

 「はい」と山田が返事していた。

 素っ裸で保育園の部屋の前にいると、もう園児に戻ったような錯覚が起こり、≪きょうは、ここで、育ててもらうんだな…≫と思った。勇気を出して3人は大勢の園児のいる部屋へ入った。


 92、いちご組

 廊下を歩いて2階にあったいちご組に入ると、平仮名の勉強中みたいで静かだったが、入ると歓声が上がった。どうやら、誕生日分けしてある(そう車でランボが副顧問と少しだけ話していた)一番年齢の上のクラスのようだった。男子も女子も短パンかパンツをはいてるので全裸ではないのが分かる。

 「いらっしゃい。話は先生方から聞いてます。もうすぐ小学生になる子たちには、体の大きな子に慣れてもらう意味でいいかしら。あなたたちも、少し前までは幼児だったんだし、久しぶりに元気な幼児だったころを思い出すのは、いいことよ。それから、この「いちご組」はしらきさん。くぼたさん、やまださんは手前のあっちの「みかん組」です。組が違いますから、分かれてちょうだい」

 「はい」と返事し、二人で「いちご組」を出て「みかん組」へ入った。そこも、どうやら6才児の組らしかった。いちご組の担当が、3人の名前が分かったのは、事前に名前と顔写真を見ていたからではなく、名前が書いてあるから、それを見ただけのことだ。ランボの車の中で、「ブルマ姿なら、ブルマに名札が付いてるからいいけれど、ワレメ姿だと名前が分からないから、マジックでブルマの名札の位置に名前を書いておくから」と言われて、黒く細い「なまえペン」(靴や服に名前を記入するペン。商品にそういう絵が描いてある)で体に名前を書かれていたのだ。ランボが後方へ前席のシートをずらし、車内を3人が左右へ移動してランボの書きやすい位置へ移動して、性器の左上にめいめい「しらき」「くぼた」「やまだ」と書いてもらったので、ブルマ着用時と名前の分かり易さは同等になっていたのだ。ただ、ランボはぼくだけは「おっ、くぼたは形のいい可愛い性器だな。女の子らしい、いい形だ」と、誉めてくれて、マジックの極細(名前を書いたペンの反対側に極細がついている)のペンで、ぼくだけ「女」と性器の横に書かれて「→」も書かれてしまい、性別もすぐに分かるようにされてしまった。言葉だと分かりにくいので模式図(下)を見てほしい。こんな風にされたら、誰からも「くぼた」という名前なのは即座に分かると思う。でも性別はわざわざ書かなくても見れば分かることなので余分な気がした。

 「みかん組」はこれから砂遊びをするということだったので、お勉強をするよりはぼくは嬉しかった。短パン1枚の園児たちと一緒に園庭に出ると、広い砂場があり、そこで遊ぶことになった。最初は麻衣たちに遠慮していた年長の子たちだったが、すぐに女子数人と仲良くなり砂遊びをした。最初はトンネルづくりとか、水を使った遊びをしていたのだが、次第に飽きてきたらしく、短パン1枚で砂の上を転がったり、砂に埋もれたりして遊びはじめたので、ぼくも一緒に砂の上を転がっり、砂をかけてもらったりして、全身が砂で真っ白になった。新しい綺麗な砂みたいで、海で遊ぶみたいで、気持ちいいと思った。園児は短パンの中が砂だらけみたいなので、後で砂を出すのだろうなと思った。でも、ぼくは直接ワレメが砂に擦れるので、ワレメの中まで砂だらけになって遊んだ。山田は幼児うけするタイプみたいで、男の子に大人気で、砂の上で男子に抱き着かれたりして、いつもの麻衣と山田と立場が逆転してるかんじがしていた。いつもは山田は男子に人気がなく(単に小学生みたいな雰囲気なだけだからかもしれないが)、ぼくは学校のアイドルみたいに大人気なのに、ここでは男子はぼくに余り寄ってこず、山田ばかりに抱き着いたりしてるので、≪山田の方が幼児には親近感があるのかな…≫と思った。麻衣も言われた通りに園児になりきって遊んでいたつもりだったが、やはり心のどこかに≪女子中学生なんだから≫という壁があり、本物の園児にはなりきれてない気がしたが、山田はもうこのまま園児になってしまいたいという雰囲気のオーラを出していた。なんとなく、幸せそうな山田を見てると、≪本当はもう中学校には戻りたくないのかな…≫というふうに思えてくるのだ。

 砂遊びが終わり建物に入るときに、水道で上手に性器の砂を洗ってから、全身の砂を落として、それから入ったので、室内でも体がざらざらして気持ち悪いというようなことはなかった。ぼくは幼児たちに合わせてるというかんじだったけれど、山田は完全に幼児退行しているのか、幼児化していて、ごく自然に幼児に溶け込んでいるだけという雰囲気だった。

 以前はここの保育園では素っ裸で砂遊びをして、砂遊びが終わると全員が並んで順番に水洗いしてもらっていたようだが、短パンは必要最小限しか脱がさないことになってしまったので、砂遊びが終わっても手や布で体の砂を落として終わりだ。だから、砂遊び終了直前に、うまく砂でざらざらした部分を水洗いしたのは要領が良かったと思う。でも急いだのでお尻までは洗う余裕はなく、お尻の穴の周辺の砂は、仕方なく手で落とした。園児たちは短パンなので、中身までは余り砂が入らないようで、短パンを手で軽く叩くだけで砂が落ちるので、便利といえば便利だと思った。

 お昼の給食後に広間に園の全員が集合して、腹話術を見た。地元の人らしい。その後、ぼくたち3人が小発表会の最後の踊りを発表させられた。これは事前に副顧問から聞いていたことだし、「おっこ、ほい」でなく、「おっこ、はい」と言うようにと指導されていたので、発表は最初からすると知っていたので驚きはなかった。腹話術とお話が終わるまで15分くらい舞台(舞台というほどでもないが、少し高くなっている)の横で正座して待機していた。裸教育では正座と決められていたからで、園児たちは自由に座っていたし、どんな風に待機していても構わないのだろうけれど、体操部のルールなので仕方ないと思った。背筋を伸ばして待機していると、≪うまく踊れるかな≫と少し緊張してしまった。というのも、小発表会の後は一切「最後の踊り」の練習はしてないからだ。山田も、さっきまでは幼児化していたけれど、ようやく女子部員に戻った感じで、緊張に少し震えてるかんじだった。白木はごくごく普通に指示通りにしてるだけという雰囲気で、割切りの良さには感心させられた。ぼくみたいに、ごちゃごちゃと考えたり悩んだりしてないように見えた。腹話術の人が広間から出ていくと、「大きい子の踊りです」と言われて、すぐに音楽が流れてしまったので、大急ぎで舞台上に移動して、踊り始めた。

 しかし、バスターミナル横の空き地で踊ったのとはだいぶ勝手が違うと思った。まず人数が少ないのと、踊る広さが狭いのと、保育士さんも含めてみんな真面目に見てるので、≪こんな所で尻叩きしていいのかな≫と思ってしまったほどだった。

 最初は退屈そうに見ていた幼児だったけれど、お尻を叩いたら大笑いをしてくれたので、少しホッとした。

 その後は、お尻を叩くたびに笑ってくれたので、≪退屈されるかな≫と心配していたので、その意味では良かったと思う。でも保育士さんとか幼児たちの前で、真っ裸で自分のお尻をひっぱたいて笑われてるんだから、≪ぼくたちって、おもちゃの子たちなのかな≫と女子中学生としては幼稚っぽいことをしているなあと思った。

 最後の「おっこ、はい、はい、はい、はい」と連続して尻叩きする場面では、変なことをさせられる気持ち良さというか快感があり、恥ずかしさも忘れて夢中で尻叩きしてるかんじだった。でも副顧問から、「小発表会の時のように、本気で尻叩きしなくていい。軽く、音だけするように叩け」と事前に言われていたので、自分としては軽く叩いてるつもりだったが、踊り終わった時には、右のお尻がヒリヒリしていた。だいぶ赤くなっていたと思う。自分で自分をお仕置きするような踊りなんだけれど、もっともっと「いい子」になるためには、自分のお尻を叩かされて見てもらうのも、いいかもしれないと思った。

 4時過ぎに、今度は顧問や副顧問でなく、社会の先生が別の車で迎えに来てくれて、小さな白いアルトという軽自動車で中学校に帰った。帰る時に「きょうは、みんな、よくできました」と誉められて、保育士さんに頭を撫でてもらったので、園児を頑張れて良かったと思った。

 部活をしていたので、駐車場から部室まで全裸なのが恥ずかしいので、小走りで部室に移動して、そこで体操着を着て、それから体育館に移動した。体育館では部員が、恥ずかしく辛いメンタルトレーニングをさせられていて、ブルマ1枚で苦しんでいた。

 「ご苦労。きょうは疲れてるだろう。3人は見学してなさい」と副顧問に言われ、ブルマ1枚で正座して見学をした。メンタルトレーニング中の部員は虐待中の女子というかんじで、大量の水を飲まされたらしく、フーフー苦しみながら不自然な恥ずかしい格好を続けさせられていた。副顧問にスリッパで腹や性器を踏みつけられて「あん、あん」と恥ずかしい声を出してるのが赤面だった。体をマッサージのように、さすられたり、乳房をつかまれたりしていたが、メンタルトレーニングなので我慢してるのが健気に見えた。≪きょうは、見学で良かった…≫と思った。きょうは、いつもより多く水を飲まされたらしいのは、女子の苦悶の表情から明白だった。口から噴水のように水を吹き出す子もいて、そういう状態で頑張るのは地獄だと経験してるので、1日園児に選ばれて幸運だったと思った瞬間だった。仰向けに寝て、足を左右に開くようにしていて、足は曲げて、曲げた足は太股の外側だった。手はバンザイをしていて、苦しそうだった。≪かっこいいぞ、頑張れ!≫と心の中で応援しながら、見ていた。


 93、部活終了後

 部活が終わると、みんな苦しかったのか、水を吐きだしていた。本当に苦しいと、喉に指を入れたりしなくても、自然に吐いてしまうものなので、吐かずに耐えるのは大変でも、吐くのは簡単だった。それに吐きさえすれば楽になるので、すぐに部員に笑顔が戻った。

 顧問も副顧問もおらず、気楽に雑談をした。きょうの1日園児に他の部員は興味あるらしく、いろいろと訊いてきた。「ブルマなしなので、名前を体に書かれたんだよ」と、ブルマを下げて見せると、「やだ、恥ずかしい」と笑われた。名前だけでなく、性別まで書かれてることが赤面に見えるのかなと思った。でも体操着にも女子と書いてあるし、変ではないと思う。ただ、丸見えなので書かなくても分かるのと、女と書かれたうえに、性器に向けて矢印を書かれたのが幼稚っぽい気がして、少しだけ恥ずかしいと思った程度だった。揺れる車の中でランボに手早く書かれた文字なので、字も汚く、まるで幼児みたいな文字だったが、この文字が一日園児をした証だと思う。一日園児に選ばれたんだぞという自慢も手伝って文字を見せたんだと思う。でも、それを恥ずかしいと言われるのは少し意外だったが、実際に裸教育は恥ずかしいなんて言い出せばきりがなく、全部が恥ずかしいとも言えるので仕方ないと思う。そもそも、大きな子が女子なのに裸にされてることからして、恥ずかしいと言えなくもない。しかも裸教育の総仕上げの意味で素っ裸にもされるのだから。「裸の恥ずかしさにも寒さにも負けない子になれ」と言われてるのだから、裸の恥ずかしさに負けてないなら素っ裸になれるはずというのは当然な理屈だと思う。だから素っ裸にされても、恥ずかしさに負けてないぞという強い心を大勢に見てもらえたことは嬉しいと思う。

 「いちご組はどうだった?」と麻衣は白木の様子は園では見てないので尋ねた。園で白木を見たのは最初と最後と踊りの時だけだった。

 「え、普通だったよ。普通というか、大人しい子が多いので、解け込みやすい気がした」

 「男子に触られなかった?」と山田ばかりが男子に抱き着かれていたのが気になっていたので白木に尋ねてみた。

 「触られたというか、幼児だから、肌と肌の触れ合いはスキンシップだもの。普通に接触したり、しがみついたりしてきただけだよ」

 「そうなんだ。ぼくは全然男子に人気なくて、触られないもんだから、悩んでたんだ」

 「なんだ、そんなことか。ひょっとして、女子のグループで遊んでいなかった?」

 「うん。女子に誘われたので誘われるままに砂場で遊んだかんじかな」

 「だからだよ。女子と仲良くしてるということは、あまり男子と遊ばない子と思われたんだよ」

 「山田は男子に触られまくってた」

 「触られまくるというより、しがみつかれてたんだね。最初に男子と遊んでしまえば、なんだ話の分かる子だと思われるから、男子が集まるのは当然だよ。しかも転校生みたいなもので興味津々なのだから。男子に人気がないのでなく、遊んでもらえないと思われただけだよ」

 「なあんだ、そういうことか」と、ぼくは白木の話に少し安心した。幼児は男子は俺が1番だと勝負をつけたがるし、女子はみんな一緒だよねと何でも一緒にしたがる傾向が強いので、男女一緒にいても実は男女別々に遊んでることが多いのだ。たまたま偶然に女子に華子みたいな要領のいい園児がいて手早く女子グループに引き込まれたことで、男子とは逆に距離ができただけだったようだ。幼児相手に人気がどうのとかモテモテかどうかとか、そんなことを気にしていた麻衣の方が変だったのだと気づいた。それから、手早く遊べる山田がいたため、なおさら手間のかかるぼくは避けられたということなんだろうと思った。疑問が氷解し、ほっとした。男子の人気を気にするのは、中学校で男子のアイドル化してしまったせいと思った。一度人気が出ると、どこでも人気があるような気がして、そうでないと焦ってしまったのは、こどもっぽいと思った。

 「それより、麻衣ちゃんは、お尻を叩くとき、手の角度が変だよ」と部長の白木に注意されてしまった。

 「おっこ、はい、の、おっこの部分は、もっとお尻の後ろ方から叩かないとダメ。麻衣ちゃんのを見てたら、右方向からお尻を叩いてるから、全員が綺麗にそろわなくて、少し違うと思った」

 「でも、ランボは何も言わなかったよ。副顧問も、お尻を叩けと言うだけだったし」

 「それは小発表会まで時間がないから、細かい事は省略してたんだよ。去年は、準備期間が長かったから手の角度とか、手取り足取り直されたよ」

 「へえ、そうなんだ」

 「うん、それから、お尻を強く叩きすぎ。あんなに、いちいち発表のたびに強く叩いてたら、お尻が壊れちゃうよ。あと何度あるか分からないし、あれで終わりかもしれないけれど、指示された以上に強く叩くのは要領が悪いかな」

 「え、でも気持ちいいから、つい」

 「気持ち良くなるために部活してるのではなくて、いい子になるための部活なんだから、気持ち良くても我慢しないと」

 「うん、そうだね」と、白木のいう事にも納得させられた。でも実際に気持ちいいんだから仕方ないと思う。気持ち良かったり興奮したりする面もあるから女子体操部を脱落しないで頑張ってるので、そういう体感的な刺激や快感がないなら、いる意味はないと思う。退屈でも英語部とかにしたほうが無難だと思う。単にスポコンのバレーボール部が嫌だから我慢してるだけということではないと思う。

 「いちご組の保育士さん、なんかハキハキしすぎで、少し怖いかなと思ったんだけど、どうだった?」

 「だって、みんなを統括するように仕事を任されてるんだから、ハキハキ、テキパキしてないと務まらないでしょ。普通は普通の人でも、責任を与えられると性格がきつくなるのは当然だよ」

 「そうなんだ」

 「だから、お金は安くても、そういう責任ある仕事は避けたがる人もいるし、人生観は人それぞれなのではないかなあ」

 「そういうものかな」

 「もちろん手際良いから、管理職的なものが得られるともいえるし、それは鶏と卵と同じで分からないけれど」

 「せっかく意を決していちごに入ったら、すぐにみかんに移動なんだもの。なんのこっちゃというかんじかな」

 「それは、手際良すぎで、あっさりしてたね」

 「でも、どうして、部長は1人でいちごなのに、ぼくたちは2人だったのかな」

 「それは偶数なら同人数どうしだろうけど、奇数だからだよ」

 「そんなことは分かってるんだけど。ぼくたちは、たよりないかんじに見えたのかな」

 「え、それは、ないない。あたしと、学校アイドルの麻衣ちゃんと、どちらが貧弱に見えるかというなら、あたしの方が貧弱だよ。何も考えずに、適当に分けただけなんだよ」

 「そうかぁ」と、納得させられた。白木は洗脳されてるけど、言うことはまともなのだ。まともなんだけれど、特定のことを話すと、やはり少し変だなと思うことがあり、頭は正常なのだけど、心は1年半もの部員生活で変な性癖に歪められてるのかもしれないと思った。

 「それより、みかんは、いきなり園庭に出ていったけれど、楽しかった?」

 「うん、砂遊びは好きだから。ずうっと砂遊びで良かったかな」

 「やっぱり、そんなかんじだもんね」

 「うん、でも、運動会の時みたいに足洗い場で全身をくまなく洗ったのと違って、幼児が遊びに使っていた蛇口を使って手早く重要な部分だけ洗ったかんじだから、逆に砂遊びの跡は気持ち悪い気がした。園児も体を洗うことはなく、あれって逆に健康に悪くないのかな。短パン姿にしたのは時代の流れかもしれないけれど、何でもかんでも短パンだと、かえって不衛生な気がしたんだけど」

 「え、それは不衛生でもいいから、そういう合意にしたのだろうから、それでいいんだよ」

 「そっかあ」

 白木との話はそれで終わった。白木と仲良しの他の部員が白木に話しかけてきたからだ。

 でも、すぐに、向こうの方で遊んでいた華子がやってきた。

 「今日の練習は苦しくてエッチで面白かったのら。くぼたの方は、どうだった?」とやはり訊かれた。

 「1日園児のこと?」

 「そうなのら、あんなものに選ばれるなんて、女子体操部のスーパーエリートなのら。きゃはは」

 「エリートゆうより、幼稚っぴいだけだったよ」

 「きゃはは。この年齢で幼稚園児とは興奮なのれすぅ」

 「幼稚園でなく、保育園だと思う。どっちでもいいけれど」

 「幼稚園は文部省の管轄、保育園は厚生省の管轄というだけで、同じものなのだ」

 「うん、でも、どちらかというと、幼稚園へ行きたかったかな」

 「きゃはは。で、お尻ペンペンダンス踊ったんでしょ」

 「うん」

 「あ、お尻少し、はれてるかんじなのれすぅ。なぜかハナは除外されたもんだから、残念なのれすぅ。くぼたと一緒に保育園児やりたかったな。でも、どうしてハナは最初から選考から外されたのかなぁ。貴重な普通出来そうもない体験なのになぁ。でも、くぼたと、山田と、白木というのは分かるな、みんな余裕なくてぎりぎりな感じがするもの。ハナだと保育園で余裕で遊んでしまうと、園児らしくないから避けられたのかな。理由はどうでもいいけれど、くぼたと一緒でないので、きょうはつまらなかったのれすぅ」

 「そうだね。ぼくもラーちゃんと一緒だと心強い気がしたのに。色々、助けてくれそうだし。だって山田なんて、幼児と一体化してるんだもん、残されたぼくは努力して園児を演じきったかんじだったよ」

 「あ、山田は最近、少し危ないね。幼児退行してるのか失禁することあるから、副顧問に『体罰中は床にオシッコしないように!』と言われてたしね。床にオシッコしたらダメと注意されるなんて、どう考えても幼児レベルだよね。中学生のされる注意と違う気がする」

 「うん、きょうは砂場で山田と一緒にいたら、山田は体は女子中学生というか小学生くらいには見えたけれど、頭の中身は幼児の頭と入れ替えられてるのではと思うほどだったんだ。だから、山田はいたけれど、幼児がいるのと同じようなものさ。砂場で結局は自力で幼児に溶け込む努力をしたんだ。砂遊びは面白かったけどね、気持ちいいし」

 「キャハハハ」

 「≪山田がラーちゃんだったら、どんなに安心かな≫と何度も思ったよ。慣れない初めての保育園なんだし、保育士さんも知らない人ばかりだし、責任者らしい人もサバサバしてる感じだし」

 「でも、中学生なのに、素っ裸の保育園児をさせられるなんて、おもしろエッチで興奮だと思うのラ。きゃはは」

 「まあ、それは、そうなんだけどね」

 「ねえ、そろそろ帰ろうか」と、華子が言い、二人は部室へ移動した。部室でセーラー服を着て、それから、体操着をカバンに入れて、下校した。

 分かれ道まで華子と一緒に歩いた。華子は麻衣が困ってると必ず助けようとしてくれるので、麻衣にはなくてはならない存在だった。ただ、ドラえもんみたいに便利なものを出してくれるわけではなく、主に精神的に助けてくれるだけなのだが。でも、この前、学校で校長先生にもらった賞状(がんばっで賞)をうっかり破ってしまった時に、「これを使うのラ」と使いさしのセロファンテープを出してくれた時は、本物のドラえもんみたいに頼りがいを感じてしまったのだった。麻衣が困ってると何とかしてくれようとするのが、華子のいいところだった。

 帰り道でも、山田ばかりが保育園で人気があったという話を華子にしたら、「そんなの保育園は1日だけだから、人気なんて、どうでもいいのラ。学校では大人気で、男子がくぼたの変な写真を高額で裏取引してるくらいなのらから、それでいいのだ」と言うものだから、≪それも、そっか≫と思った。どうでもいいと言われてしまうと、確かにどうでもいい気がした。本当に華子は役に立つなあと、感心させられた。白木の説明より余程いいと思った。全裸写真だけでなく、変な写真も男子が秘蔵してるのは知ってたし、人気の証なので、恥ずかしいけれど嬉しいと思う。学校で人気あればいいだけのことで、わざわざ保育園のことまで考えても始まらないというのはもっともな意見だった。

 「じゃあね、くぼた、バイバイ」

 「うん、ラーちゃん、また明日」

 二人は手を振って別れた。一人になると急に夕方の物寂しさが身に染みる気がした。


94、人形へのセレナード

 とりあえず、数日間、奇妙な練習をさせられて、いつもと違う体験をしたのだけど、結局、保育園の1日体験が終わると、元通りの部活に戻ってしまった。ランボと保育園の園長がおそらく昔の同級生かなにかなのかな…という気がしたけれど、実際のところは分からない。保育士さんは、園長命令を淡々と受け入れてるかんじで、特に麻衣たちの1日園児に何の感慨も思い入れもなさそうだった。でも、とりあえず、園長は自由に運営してるけれど、厚生省の示したガイドラインには最低限度従ってるから補助金をもらって、やっていられるんだろう。それから保育士さんたちも、全裸はなくなったとはいえ、普通の裸保育の保育園だから、全裸の麻衣たちを受け入れることに全然抵抗感も無かったんだと思う。幼児の性器とか肛門は見慣れていて、うんざりしてるんだろうから、麻衣たちが全裸で1日体験をするということでも、園長命令なら≪ハイハイ、やれやれ≫という気分だったんだろう。それは、到着して即座に感じた麻衣たちへの淡白な反応からも、そうでないかと推察している。いくら体つきは小5くらいの感覚のこどもたちでも、ランボの白いカローラから素っ裸で降りてくるんだから、数年前の全裸保育時代がフラッシュバックしても不思議はないと思う。ぼくたちも、女子中学生とはいえ、痩せているチビスケばかりで、知らない人が見たら山田は確実に小5くらいだし、ぼくは山田ほど痩せてないけど、顔が幼いので小学生と勘違いされるし、白木は中2だけあって、小6くらいの体つきかもしれないけれど、どこか筋肉が軟弱そうで、ひ弱そうで、弱弱しく見える。全体としては小5くらいにしか見えないと思うのだ。それがセーラー服で降りてくるなら、≪女子中学生なんだなぁ…≫と、多少は遠慮なり大きい子らしい扱いをしてくれるんだろうけれど、素っ裸で降りてくるんだから、≪幼児ではないけれど、幼児と同等か大差ないこどもたちなんだな…≫と、ああいうお手軽な扱いにされてしまうのも十分に理解できると思う。しかも山田は幼児退行してて、実際に幼児と大差ないと思う。でも、別に余り幼児退行してるとも思えず、単なる幼稚園児への憧れだけで来てしまった麻衣には、園での幼児扱いには≪もうー≫と思うこともあったが、「幼児になりきれ」と車でも副顧問から言われていたし、我慢して頑張ったというのが本音かもしれない。山田には呆れてしまうけれど、ああいうのが実は一番気持ちいいのかもしれない。1日体験は疲れたし、多少は右側のお尻が痛くなったけれど、でも悲惨な月1度くらい繰り返されるメンタルトレーニングから逃れられたのは嬉しかった。白木のようなマゾでないし、華子のように面白ければ何でもいい訳でないので、水を不必要に大量に飲まされるメンタルトレーニングだけは嫌いだった。お腹を蛙のように膨らませてランニングさせられて、口から噴水のように水を吐きだす時の惨めな感覚は、経験したこどもにしか理解できないと思う。でも、惨めすぎて自分が可哀想で気持ちいいという感覚もあるのだが、そのまま突き進むと白木の二の舞になりそうで、危険な一線だと思う。

 しかし、無事、1日園児も終わり、園児をやり遂げたということで、若干ランボには信頼が薄かったのだが、ランボのぼくへの信頼度は高くなったと思う。最初は洗脳されないし、校長のオモチャ化してるだけで、練習の真剣さが白木などと比べ欠乏してると、ぼくは低評価の部員だったようだが、運動会、小発表会と何故か大活躍して好評のうえに、中学生には難しい一日園児も無事にこなしたのだから、評価も上がって当然かもしれない。ただ、ぼくとしては、白木のように部長になりたいわけでも、2年生になっても大活躍したいわけでもないので、評価は良いにこしたことはないという程度だった。いちいちダメな奴と思われながら部活をしても楽しさは半減してしまうだろう。

 とりあえず1日体験が終わったことで、妙な幼児退行させたがってるような練習から解放されて、今日も半袖シャツを脱ぎ、上半身裸になって、≪他の子の体の動きを見て、それにピッタリとシンクロさせる練習だった。そういう日が何日か続いたのだ。ただ、山田は前回の奇妙な訓練で幼児化したらしく、すぐにオシッコを出すし、すぐに泣いてしまうし、ランボでさえ手をつけられないまでに状態が悪くなったので、「こいつは、バレーボール部に送るか?」とランボが副顧問と相談をしてるほどだった。ここまで幼くなると、もう発表には不適格な気がした。やはり、幼い全裸姿の発表であっても、中学生くらいの強い精神力がないと、一糸乱れずやり抜けないと思う。途中で泣いてしまっては、演技はそこまでなのだ。でも、病欠と嘘をついた訳でなく、幼児化が芝居とは思えないので、とりあえず、山田はそのまま部員を続けていた。ただ、「これからはオシッコした時は、自分でバケツと雑巾を使い、綺麗に掃除しておくこと」と言われていた。汚れたらこれまでは当番が掃除してたのだ。

オシッコだけ問題解決されれば、山田が幼児になろうと、オシッコ垂れになろうと、廃人化しようと、ご自由にどうぞというスタンスだったのかもしれない。

 ところが、数日後、再び部員のうち10名だけが別メニューの練習をさせられることになった。ぼくも別メニューだったが、それは校長のようにランボも副顧問もぼくを贔屓してるわけでないので、単に「難しい」とランボも言っていた1日園児をぼくが無事にこなしたことから、実力を少し認められたということなんだろう。実際は憧れの幼稚園児的なことを出来て嬉しいので頑張れただけで、白木のように淡々とこなせるような実力(というか、洗脳状態)があるわけでないのだが。ぼくの他の9名には、後から部に加わった追加組はいなかった。そのことから、失敗の許されない発表の練習なのかなと思った。10名もいるので、今回は白木も、華子も、別メニューだった。ただ、前回で少し「おかしくなった」と言われていた山田は別メニューのメンバーからは外されていた。強烈な体験をさせられる裸教育なので、いい子に育つ反面、おかしくなるリスクも高いのだと思う。

 前回の1日幼児体験用の練習も奇妙だったけれど、今回の別メニューの練習は前回以上に奇妙なものだった。でも、別メニューの練習がある場合は、別メニューの練習に選ばれない子は、練習が普段よりも何故か厳しくなるので、そういう過酷な練習をするよりは、別メニューの練習の方が楽なのは間違いなかった。正式なメンタルトレーニングとか、正式なサーキットトレーニングは地獄のように辛いので、遊びのような別メニューの練習で内心嬉しかったと思う。それに、こんな見栄もプライドも何もないような裸教育であっても、やはり選ばれると優越感もあるし、嬉しいのは間違いないと思う。くだらないと言われればそれまでなのだが、実際にそうなのだから仕方ないと思うのだ。

 別メニューの1日目の練習は特に楽だった。要するにお説教みたいなものだったので、洗脳はされてないんだけど、単に「はいっ」と返事しながら話を聞いていればいいのだから。そのころ本筋の練習をしてる部員はヒーヒー苦しんでいたのだから、雲泥の差だったと思う。山田もヒーヒー苦しみながら、体育館の床の上に大量におしっこを出したりして、おかしさに益々磨きがかかってきてる様子だった。

 部活が楽だったので、しかも今回は華子と共に別メンバーに選抜されたので、帰宅時は華子もぼくも元気は良かったと思う。

 「全員、人形になってもらうという話だったよね。人形になって、どうするんだろう」

 「さあ、今度は人形店にでも飾るつもりなのかな、きゃはは」

 「ほんと、不可解だよね。ねえ、きょうさ、山田が体育館で物凄い量の小便したよね。少しだけ失禁したとかいうレベルでないもの。山田、どうしたのかなあ? 体調でも悪いのかなあ…」

 「体調は普通でしょ、病気じゃないのらし。恐らく、幼児化訓練で、本当に壊れちゃったんだよ」

 「そうなのかな」

 「そりゃあ、赤ちゃんみたいに、おしゃぶり咥えて、オシッコさせられるんだもん、壊れる子もいるよ。クボタもさせられてたから、ハナは心配してたくらいだもん。あれは、やばいよ。洗脳されやすい子だと、催眠術にかかったままになってしまう気がする。永久に解けることのない催眠術にね。だから、山田は催眠状態のまま現実に戻れてない気がするのら」

 「確かに変だよね」

 「変というより、もう完全におかしいでしょ。あの様子を見てると、中身は赤ちゃんで、オシメした方が無難な気がする。白木も洗脳されてるけど、うちらより1年長く体操部にいれば、あんなものだよ。むしろ、ハナとかクボみたいに全然洗脳されてない方が、むしろ異常と思うもん」

 「そうか、裸教育は強い子に育ててもらえるし、いい子になるから、良い事ばかりという気がするけど、そういう事ばかりでもないんだね」

 「まあ、割切りの良さは身に着くけれど、実際、三つ子の魂百までで、何も本質は変わらない気がするのら。クボタだって、部活してるけど、結局はクボタのままだし。まあ、そんな簡単に人間コロコロ変化する訳ないけれどね。ただ、時々おかしくなる子もいるのは、薬に副作用があるのと同じで仕方ないと思うよ。効果のある教育方法だから、副作用もあるんだよ。効果ない普通の教育だと、副作用はないけれど、効果もないよ」

 「そっかあ。まあ、体操部が、ときどき部員がおかしくなることがあるのは仕方ないんだね。それからね、あと、体操部で問題なのは、全裸写真をたくさん撮られてしまうことだよ。本人は1円ももらえないし、他人に自分を見られたくないのに、全裸写真にされてしまったら、全部丸見えにされてしまうんだもん。それって、人権侵害じゃないかなあ?」

 「え、そうかな。裸教育される時点で、それは裸教育に含まれてるんだよ。だから、あまり深く悩んでも仕方ないということだよ。ほら、小学校の運動会でブルマ1枚にされてたよね。で、どうだった? 大勢の見物人にブルマ1枚姿を撮影されたよね。それにさ、卒業写真にも、堂々とブルマ1枚の写真が〔運動会〕のページに載せられていたよね。男子も女子が裸になってる冊子をもらっていたし。ブルマ1枚の教育をされた時点で、ブルマ1枚の写真を撮られるのは織り込み済みなんだよ。だから、全裸なら、全裸写真になるだけで、そんなことはブルマ1枚の写真の時と同じことなんだよ。だから、深く考えることないよ」

 「うん、ぼくの全裸写真までなら、実際に全裸にされてるから仕方ないんだなとおもうけれど、ぼくの性器だけが写ってる写真も男子が見てるでしょ。恥ずかしいし、そこまで見せる気はなかったんだけど、ぼくとしては…」

 「そんなこと言うなら、ブルマ姿の写真だって、ブルマがワレメに食い込んだ写真が普通に男子に見られてたじゃない。それと同じで、部分的にも全体的にも撮影できるんだから、それは仕方ないよ。そんなこと言うなら、ブルマの食い込みを男子に見せるのが嫌だったら、ブルマなんて着用できないということになるよ。まあ、だからブルマ反対運動も盛り上がっていたんだろうけれどね」

 「そっか、ズームがあるんだから、全裸写真はいいけれど、性器写真は嫌だ、なんていうのは、ぼくのわがままなんだね」

 「わがままとは言わないけれど、男子がくぼたの性器を見たいと思う気持ちは分かる気がする。だって、顔が可愛いもん。ハナも可愛い方だけど、やっぱり久保田は別格だもん。だから、変な写真にされたのも分かる気がする。変な写真にされたのクボタだけだしね。やはり、変な部分だけに、普通ではいられないんだよ。強烈に可愛いと興奮するか、気持ち悪いと思うか、どちらかなんだよ。みんな、口では幼児みたいで普通だよと言っていても、実際に心の中ではエッチなことを考えまくりなんだよ」

 「えーっ、そうなのかなぁ。ぼくの友達の男子が『チビは、幼児のように清潔で綺麗な性器だから、素っ裸で丸見えでも少しもエッチでないよ』と誉めてくれて、嬉しかったのに」

 「きゃはは、じゃあ、そういう事にしておくのら」

 分かれ道で華子と別れたが、ぼくは友達の男子の言葉を鵜呑みにして「丸見えでもエッチでない」と信じていたけれど、実際にはエッチな目でぼくを見ていたのかな、と、少しだけ考えてしまったが結論は出なかった。

 周囲は既に薄暗くなっていた。家でさっそく宿題をして、ごはんを食べ、お風呂に入って、うんこして寝た。(つづく)


 95、練習2日目

 新たな奇妙な別メニューに選ばれたのは10人もいたので、白木だけでなく、華子なども選ばれたのは既に書いた通りだ。しかし文句の多い葵や追加組は選ばれず、「いつも同じ子ばかり、贔屓だ贔屓だ」と葵はぶつくさ言ってたし、実際問題として普通のメニューの方が練習はハードなので、しかも週一度はメンタルトレーニングもあるので(水を飲むのは月1度だったが、オナニーするメンタルトレーニングとか、変なメンタルトレーニングをさせられた)、メンタルトレーニングを免除されてしまう別メニューは羨ましいようだった。しかし、それは選ばれなかった子の視点から見るとそう見えるだけで、実際には新たなことに挑戦させられる大変さとか、実際にやってみると楽そうに見えて、結構恥ずかしかったり、結構大変な面もあるのだった。しかも、10人も別メニューの練習にもかかわらず、合格者はたった2人なんだという。前回の3人よりも狭き門なのだ。どうせ、また、白木は白木は選ばれるにしても、ぼくは選ばれるような気はしなかった。白木を除いたら、ライバルが8人もいることになるからだ。しかも、ランボは校長みたいに麻衣を贔屓してくれてないので、実力で選ばれるだけなんだから、確率は1/8でしかなかった。ところが、みんなは「また、部長とチビ(ぼくのこと)が選ばれるだけなんだから、頑張っても意味ない」とか、言ってるらしかった。そう華子が教えてくれたので、「白木は分かるけど、ぼくは選ばれないと思うんだけど」と華子に返事すると、「ハナもそう思うのら。でも、ほら、クボタ(ぼくの名前の発音を華子は久保田ッと明瞭に大人の言うように言うのでなく、くぅぼぅちゃぁ、みたいに幼児のような発音で言うことが多い)は、運動会でも大活躍して数々の伝説を残したうえに、小発表会でも大活躍と誉められたし、まあ、それはハナも誉められたけど、それに校長先生に何度も呼ばれてるし、コネも実力もあると勘違いされてると思うのら。陰で、『運動神経がちょっといいからって、余裕ぶっこいてる。いいわよねえ、余裕あると気楽で』とか悪口言われてるんだよね、それは、ハナも運動神経いいから云々は同じこと言われてるのラけどね。きゃはは」と答えていたと思う。ぼくは運動神経は悪くないけれど、まあ人並みで、華子みたいにずば抜けてる訳でないのだ。ぼくの顔は可愛いというのは周囲の反応から分かってるけど、運動神経まで余裕ということはなく、死の踊りでも倒れるのが怖かったし、天は二物を与えずということなのだ。楽しそうにパタンと倒れてみてた華子みたいに、余裕綽々というのは大きな誤解としか言いようがなかった。そういえば「素っ裸でも、可愛いと自信満々だから、写真撮られても平気だから、いいわねえ」とも言われた。でも、それも平気ではなく、運動会のマスゲームのリハーサルの時でも、遠くから撮影されてるにかかわらず、≪わあ、全裸写真撮られるなんてエッチだなあ≫と感じたものだ。決して、素っ裸に自信があるわけではなく、やはり顔は可愛いかもしれないけれど、プロポーションとかは普通の子供体型というだけだし、写真は平気というほど外見に自信あるわけでもない。冬の合同発表会の公開リハーサルは子供ブルマに半袖シャツ姿という体操着のままだったので、たくさん撮影されても平気な気分だったので、その安心感と比べると、遠くからでも全裸でいる時に撮影されるとやはり赤面だし、平気で余裕綽々だと言われるのも、かなり心外な気がした。

 ともかく、誤解や偏見も多い部員間のことは≪なんのことやら≫という気持ちだけど、でも、陰でこそこそ言うだけで、そのことで意地悪されたり喧嘩になるわけでないので、どちらでもいいと思った。華子は単純にぼくと同じグループで練習をできることに喜んでるだけのようで、結果のこととか合格者数が少ないこととかは全然興味なさそうなかんじだった。

 練習2日目ということで、いよいよ実際の練習スタートかと思ったら、「別メニューのこどもは準備室へ移動」と言われた。昨日は大雑把な説明を聞いたり、人形のイメージだというドビュッシーの曲など数曲をCDラジカセで聴いたり、聴いた後にイメージづくりをしなさいと正座させられたり、甘えを捨てて一生懸命できない子はダメな子だとお説教されたりして終わっていた。今日はどんな練習かと思ったら、いきなり、準備室に移動で、恥毛を剃られた。恥毛といっても、運動会のリハーサル前にも剃られたし、小発表会と運動会の間にも剃られたので、ほとんどツルツルだった。それなのに、きょうもさらに剃られたので、≪まだ、こどもだと、何度も剃ることで自覚させたいのかなあ…≫と思った。いつも同じの毛の剃られ方も幼稚っぽいし、カミソリの冷たい金属感や、大人の手で強制的に剃られてしまう感覚とか、強引にこどもに戻されてるみたいで、エッチで人権侵害みたいな気分もしたけれど、裸教育なのでこどもに見えないと仕方ないのかもしれない。冷たいカミソリの感覚の残る性器できおつけしてると、幼児並みの子に改造されてるみたいな、惨めなような希望通りで嬉しいような妙な気分だった。毛まで剃られてしまうということにエッチだなと思うけれど、でも、裸教育そのものがエッチな面もあるのだから、そんなことを言いだしたら、きりがないと思う。エッチなこととか、恥ずかしいこととかは、沢山あるんだし、それを我慢して真剣に頑張るのが、強い子なんだと思う。でも、もともと生えてないものを、さらに剃られていたせいなのか、もう二度と毛は生えてこなかった。自分のまともな毛を見たことは公開リハーサル後、一度もない。毛のない子に改造されたんだと思うし、毛がないと考え方も毛のない子の考え方に変化してしまうと思う。その後は、安全カミソリの使い方を教えられて、自分で恥毛を剃るように言われたが、生えてこないので、剃りようがなかった。他の子は生えてきてたみたいなので、個人差があるのだから、先生のせいで生えなくされたというのは違うと思う。先生のせいと、自分のせいで生えなくなったということだと思う。全員が生えなくされたなら、それは先生のせいで、女の子の成長を否定してるんだから酷いと思うけれど、生えなくなったのは一部の子だけなので、もともとそういう子だったということで仕方ないと思う。一時的に無毛にされるのは、全裸発表をさせられるのだから仕方がないことだし、一時的に無毛にすることまで人権侵害とか言い出したらきりがない。その後に生えるかどうかは個人の問題であって、先生の責任ではないと思う。

 ブルマ1枚で10人以外が普段通りに練習してるのに、10人だけ練習をしないで準備室で「更にこどもにされて」、性器を剃られた後、両手で顔を撫でられて涙ぐんだりしていたので、≪こりゃあ、別メニューの子だけ、贔屓だとか、また悪口を言われそうだな…≫と思った。昨日のお説教でも、「もっとこどもになれ、もっと幼くなれ、そして練習で人形になりきれ、そのためには、まず外見から幼くなれ、魂は外見に宿るのだから。幼くなりきり、幼児になりきり、人形になりきれる子になったら、その姿の発表だ」といった内容を言われたので、今日の準備室も外見からこどもにするという第一歩なのだろう。僅かな恥毛すら許されないほど、徹底的にこどもにさせられるということだと思う。

 小さなブルマをはいて準備室から戻ると、普通の練習の子たちが、素早い動きでも綺麗に動きを他人と合わせる練習をしていた。全裸でシンクロさせるのは非常に難しく、まして一糸乱れぬ動きをするには、いくら練習しても練習しすぎということはないと思う。でも、こうも別メニューばかりにされると、シンクロすることで取り残されるのではという逆な不安も起きるけれど、とりあえずは目先の発表の方が重要ということなんだろう。きょうは他の部が体育館を使ってないので、体育館を広く使えていいと思った。普通の練習の子は舞台の反対側で副顧問が指導していて、特別練習の子は舞台側で練習し、ランボが指導をしていた。ランボの方が厳しいけれど、時々ぶたれるだけでなく抱きしめてくれるので好きなのだった。意味なく抱き締められるのはエッチと思うけれど、頑張った後に抱きしめられるのは、頑張りを認めてくれたということなので裸で抱き締められてもエッチでないし嬉しいと思う。

 全員ブルマ1枚で正座で、呼び出された子から順番に1人づつ、まずは実力を確認することから始まった。

 先生がパイプ椅子に座って見ているので、名前を呼ばれたら「はーい」と右手を高く上げて返事し、ブルマをさっと脱いで先生の目の前でブリッジをする。それは30秒間くらいで、先生が「ヨシ」と言うまでブリッジを続ける。先生にはさっきツルツルにされた性器が丸見えなのでエッチな気がするが、ブリッジなのだから仕方ないと思う。それが終わってから、人形になりきる。ぼくの名を「麻衣」と呼ばれて、背筋を反らせるようにして大きい声で返事して、小さなブルマを引き剥がすように脱ぎすて、それから≪ただのオシッコの出口で、割れてるだけなんだから恥ずかしくないぞ≫と自分に言い聞かせてブリッジをした。たった30秒ほどなのだけど、運動会後はあまりブリッジをしてないせいか、けっこう苦しかった。「ヨシ」と言われ、ほっとして、体育館の壁の所で人形になった。ブリッジは、先生の目の前に自分の変な部分を突き出すことになり赤面だけれど、エッチな目で見てるわけでないので、真剣に頑張らないといけないと思う。その後の人形化するのは、ありがちな人形のポーズをさせられ、床に座って足を前方に真っ直ぐに伸ばして、そのまま左右に90度くらい足を開くだけだ。背中は壁に凭れ掛かり、顔は正面を見て、目は大きく開き、手は脇から30度くらいの角度で離して、手のひらを床に密着される。正面からは性器は丸見えなのだが、人形なのだから、恥ずかしいも恥ずかしくないもなくて、人形なんてこんなものなんだろうと思った。足を開いて座るので、女の子の陰核まで見えてしまうのは恥ずかしいけれど、我慢するしかないと思う。真っ裸でさせられてるのだから、多少は見えてしまうのは仕方ないことと思う。人形化した後は、ひたすら動かないことに意識を集中した。

 「麻衣、全然ダメだ。全く人形には見えないぞ。いいか、じっとしていれば人形に見えるわけでないぞ。それでは死んでるこどもくらいにしか見えない。いいか、動く装置がついていて動いていても人形は人形に見えるだろ。どうしてだと思う?」

 「え、肌がビニールだからですか?」

 「それもある。じゃなくて、そういうことでなくてだな、人形は自分を人形だと思ってるから人形に見えるんだ。わたしは本物の人形なんだぞ、と、意識することが大切だ。自分で人形と信じることだ。これだけは説明はできないから、自分で人形そのものに近づく努力が必要だな。じっと動かないのと、人形になりきってるのは別なんだ。だから動いてもいいんだ。動く人形に見えるだけだからな」

 「はいっ」

 「じゃあ、次、白木」

 「はーい」

 ぼくは白木の邪魔にならないように、さっとブルマを拾うと、自分の正座する場所に戻ってからブルマを着用した。全然ダメと言われたことがショックだったし、これで合格はないだろうなという気分だった。白木がランボの前で、性器を高い位置にしてブリッジしていた。ブリッジは性器を高い位置にするようにと何度も言われてるので、みんな高い位置にしてブリッジしてると思う。

 白木が人形になってる姿を見て驚いた。息はしてるのに、人形にしか見えないのだ。どう見ても人間でなくて、人形そのものだった。≪おいおい、こんなに上手なんだ…≫とショックだった。麻衣とは全然違う。さすが伊達に2年生にもなって体操部部員をしてるわけでないなと驚いた。≪こりゃあ、ぼくが合格者2名に選ばれるなんてことは絶対にありえないな、死体になれというなら必死で息を止めるけれど、人形になれと言われても白木みたいに人形そのものみたいになれるわけないもの。あんな人形に変化できるなんて手品かよ≫という気分だった。

 ところが白木の次の子も、その次の子も下手くそだった。麻衣の前に呼ばれた子はまあまあだったのだが、白木の後に呼ばれた子たちは普通に女の子が風呂上りに裸で休んでる姿と大差なかった。≪なーんだ、この子たちとなら、麻衣でもいい勝負かな…≫と思った。

 やはり白木だけが突出して上手だったが、それでも白木の後に1人だけ上手な子がいて、その子は原というのだが、≪うわ、原、なかなか人形に似てるなあ。可愛いなあ≫と思った。人形になりすぎてた白木の時は驚きばかりだったが、原の場合はまあまあなので、むしろ人形をしてる姿の可愛らしさの方に関心が向いてしまったようだ。≪あんなに、可愛い姿に見えるなら、人形に見えるようになってみたいな…≫と思った。命のない人形に女子中学生が素っ裸でなりきると、あんなに可愛い姿に見えてしまうものなんだというのは新発見だった。いきなりやって、あんなに人形みたいに見えるのだから、この程度のことでも才能が必要なんだなと思った。でもぼくには人形化する才能はなさそうだから、原のような可愛い姿を見てもらうには、努力でカバーするしかなさそうだった。白木みたいに完全人形化は無理だろうけれど、原くらいなら頑張ればぼくにも出来そうな気がした。この時点で2名に選ばれたいというよりも、原みたいに可愛くなりたいという方向へ目標が変わったと思う。選ばれるのは白木と原だと思う。ぼくも練習するけれど、原も練習するのだから、原は更に上達して白木みたいになるんだろうと思う。ぼくは白木みたいに人形化できそうもなく(あれは特技の域だと思う)、だから10人が練習はするけれど、結局選ばれるのは白木と原なんだろうなと、最初から分かってしまった気がした。華子も面白がりすぎで、≪おいおい、真面目にやってるのかよ≫と呆れてしまうほどだった。人形らしく見えるうまさは、華子はぼくと原の中間くらいと思ったけれど、表情が遊びすぎだし、あまり上手でないのに、普通に息をしてるもんだから、やはり風呂上りの少女姿の延長上だなと思った。あ風呂上りに裸でパンを食べて満足してる時の華子はこんな感じなのかなあ、と、ふと思ったほどだった。

 その後、さらに人形化特訓とかあるのかと思ったら、そうでなくて、「人形の心を体得する練習」とかいうものをさせられた。手足を紐で縛られて動けなくされた。ちょうど床に転がっている10人の誘拐されたこどもの人質のような姿だったが、人形は残酷に扱われても普通なので、残酷にされているかのような姿にされるのは、人形を知るにはいいと言われた。縛られて動けないまま、全員が小さなダンボール詰めにされた。手で持つ部分が穴が開いているので窒息することはないのだが、内部は窮屈で全く身動きできなかった。狭く暗い箱の中で苦しみに耐えて頑張った。小学生くらいしか入れられそうもない小さなダンボールに詰められてガムテープで密封されてしまうと、人形というより女子中学生という名のオモチャのような気がした。箱詰めのオモチャは、こんなかんじなのかなと思った。自力では動くことすらできず、出してもらえるまで頑張るしかないと思った。

 部活終了時間にダンボールから出してもらえたが、「女子が全裸で詰められてる小さなダンボールが体育館に置かれてるのは、ダンボールが凄く小さいので結構残酷に見えたよ」と、他の一般の部員たちが言っていた。ぼくも小さな10個のダンボールのうちの1個にされて頑張ったんだと思った。小さな小さなダンボールの中で必死に苦しさに耐えてる縛られた子たち、惨めな子たちなのかもしれないけれど、小さなダンボール姿にされても負けなかった全裸っ子たちは強い子だと思う。



i MAI me (愛 麻衣 みい) ~裸教育児の久保田麻衣小学生物語

小学生時代の麻衣を物語風に脚色して連載風に不連続で投稿するブログです。ぜひ愛読者になってください。基本はノンフィクションですが、物語なので面白く脚色されています。ごく普通の6年生の女子小学生(わたし)が、裸教育の小学校に入れられてブルマ1枚にされて学校生活をし、最後にはバレーボール1個を持って半泣きの全裸マスゲームをさせられるまでの日々を日記風に描いたものです。おもしろエッチなので、ぜひ見てね。

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